小説 新・人間革命に学ぶ

人生の 生きる 指針 「小説 新・人間革命」を 1巻から30巻まで、読了を目指し、指針を 残す

鳳雛会の使命

鳳雛の飛翔

『新・人間革命』第9巻 鳳雛の章 P189~

「あなたは一人じゃないんだ。同志がいるじゃないか。感傷を吹き飛ばして、朗らかに生きるんだよ」
この日集ったメンバーのなかには、工藤だけでなく、両親のうち、どちらかがいない家庭の人が何人もいた。また、経済的に豊かな家庭など、皆無であったといってよい。

そして、皆、多かれ少なかれ、工藤と同じ気持ちをいだいていた。伸一は、それを感じていたからこそ、皆のためにも、あえて、工藤に厳しく指導したのである。皆、眼前にあるのは、厳しい現実生活であった。高校卒業後は就職し、一時も早く、家計を助けたかった。

それだけに、皆、工藤への、山本会長の指導を聞くと、目が覚める思いがし、“現実”に立ち向かう決意を固めたのであった。

伸一は思った。“今は皆、純粋な気持ちで、私とともに広布に生き抜く決意を固めている。しかし、信仰の道は厳しい。難もある。さまざまな誘惑もある。どれだけのメンバーが、一生涯、同志を裏切ることなく、信心を貫けるだろうか・・・”

“だた、まことの弟子が、一人でもいればよい。その一人が、広布の永遠の流れを開くはずだ。願わくは、全員、一人も洩れなく、この世の自らの使命を果たし抜いてもらいたい”最後に彼は、年を押すように言った。

「どこまでも、私と一緒に進もう。絶対に、信心から、学会から、離れてはいけないよ」黄金の思い出を刻んで、初の野外研修は終わった。

伸一は、鳳雛会、鳳雛グループのメンバーとは、その後も、折々に会い続けていった。さらに、一流ホテルなどの食事に、皆を招待したこともあった。やがて、世界の大リーダーに育っていくメンバーに、食事のマナーなどを教えておきたかったからでもあった。

鳳雛会、鳳雛グループの結成から30余年が過ぎた現在(2001年)、メンバーの活躍は目覚ましいものがある。何人もの副会長が誕生している詩、婦人部長をはじめ、婦人部の最高幹部も多数育っている。

海外にあっても、ヨーロッパの中核となっているメンバーをはじめ、世界各地で、広布の推進力に成長している。また、大学教授、医師、弁護士、政治家、等々多くのメンバーが、社会の各界で第一人者となっている。

山本伸一が、自らの手で蒔き、育てた人材の種子は見事に成長し、広布後継の大輪となって花開き、実をつけていったのである。

また、伸一は、定時制高校に通う高等部員の育成にも、心を砕いてきた。この、人一倍、苦労している友を、なんとしても大成させたいというのが、伸一の願いであった。

定時制鳳雛会のメンバーをすき焼き店に招待した。伸一を囲んでの指導会となった。「最も苦労している諸君であるがゆえに、私は、一番大きな期待をかけております。定時制鳳雛会は、本命中の本命です。これだけのメンバーがいれば、広宣流布は必ずできます。」

「はい!」元気な声が響いた。すると伸一は、意外なほど厳しい口調で言った。「返事は簡単です。決意することも簡単だ。口先だけの人を、私は、たくさん見てきた。信心は実証です。持続です。まことの時に何をなしたか。また、生涯を通して、何をなしたかです。諸君は、本物の勇者だったと、賛嘆される人になってもらいたい。」厳父の指導であった。

こうした伸一の陣頭指揮ともいうべき、育成によって、高等部は、めざましい発展を遂げていった。結成2年後の1966年(昭和41年)6月には、部員10万を達成し、さらに、68年には、部員18万へと飛躍的に拡大していったのである。

使命の苗を植え、育む、伸一の人間教育は、青少年の心に、精神の不屈なる力を培っていった。それは、戦後日本の荒廃した教育に、新しき光を投げかけるものであった。だが、それに気づく教育者も学者も皆無であったといってよい。

<鳳雛の章 終了>

太字は 『新・人間革命』第9巻より 抜粋

鳳雛会結成

『新・人間革命』第9巻 鳳雛の章 P177~

佐渡御書の「獅子身中の虫の獅子を食」の講義では、「広宣流布を破壊していくのは、外敵ではなく、“獅子身中の虫”です。たとえば、最高幹部であった者が、野心から、あるいは嫉妬から、学会を裏切り、造反し、躍起になって攻撃しようとする。それと戦い、学会を守っていくのが諸君です。」

「“獅子身中の虫”というのは、造反者だけではありません。仮に、立場は幹部であっても、堕落し、怠惰、無気力になったり、虚栄を張って見栄っ張りになり、すなわち自己中心主義に陥り、一念が広宣流布から離れていくならば、“獅子身中の虫”です。そうした幹部がいれば、みんながやる気を失い、学会は蝕まれていく。怖いのは内部です。恐ろしいのも内部です。」

「絶対に、“獅子身中の虫”になってはならないし、諸君のなかから、”獅子身中の虫”をわかしてもならない。」伸一の渾身の講義は、若き清らかな、高等部員の生命に注がれていった。

第二期がスタートするにあたり、受講生の男子は『鳳雛会』女子は『鳳雛グループ』を結成する。伸一は、メンバーへの講義を、青春時代の思い出に終わらせるのではなく、広宣流布のために、生涯にわたる永続的な軌道をつくっておきたかったのである。

剣豪の修行のごとき研鑽が、既に伝統となりつつあったのである。何事も、肝心なのは最初といえる。

7月16日、日蓮大聖人が『立正安国論』をもって国主諫暁をされた、意義深い日に 初の鳳雛会・鳳雛グループの野外研修が行われ、毎年集まって、成長の節を刻む記念の日となった。

伸一は、語った。「私がこれほどまでに期待しているのに、もし、諸君に広宣流布の総仕上げをしていこうという心がなく、団結もできないようならば、それは、もはや諸君が悪いのではなく、私の方に福運がないんだ。」

「私はこれからも、諸君のことを見続けていきます。何人が落ち、何人が残るか、どのように変化していくかーーその結果を見たうえで、広布の総仕上げのバトンタッチの方法を考えていきたい。」

「私は、今日、諸君に薫発の因を与えた。しかし、自ら大使命に生き抜いていこうという一念、努力がなければ、結果として、使命の芽は、出てこない。広宣流布のために何をするかです。」

皆から質問を受けることにした伸一。
工藤きみ子という、小児マヒの後遺症で片足が不自由なメンバーが、思いあぐねたような様子で尋ねた。教師になりたいが、体が不自由なうえ、経済的にも 難しい。これからどうすればいいのか、どうなっていくのかわからないと涙ぐみながら話した。

工藤は、使命の大きさを思えば思うほど、自分の置かれた現実を、どう開いていけばよいのかわからず、もがき苦しんでいたのであろう。

その時、伸一の厳しい叱咤が飛んだ。「信心は感傷ではない。泣いたからといって、何も解決しないではないか!」緊張が走った。室内は静寂に包まれた。

「あなたには、御本尊があるではないか!迷ってはいけない。ハンディを嘆いて、なんになるのか。いくら嘆いてみても、事態は何も変わりません。また、すべての人が、なんらかの悩みをかかえているものだ。いっさいが恵まれた人間などいません。学会っ子ならば、どんな立場や状況にあろうが、果敢に挑戦し、人生に勝っていくことだ。どうなるかではなく、自分がどうするかです。」

「本当に教員になりたければ、必ず、なってみせると決めなさい。もし、大学に進学することが経済的に大変ならば、アルバイトをして学費をつくればよい。夜学に通ってもよい。使命に生きていこうとすることは、理想論を語ることではない。観念の遊戯ではない。足もとを見つめて、現実を打開していくのが信心です。困難を乗り越えていく姿のなかに、信心の輝きがある。」

「いかなる状況下にあっても、誰よりも力強く、誰よりも明るく、誰よりも清らかに生き抜き、自分は、最高に幸福であると言い切れる人生を送ることが、あなたの使命なんです」

工藤は、唇を噛み締め、何度も、何度も頷いた。「そうだ。負けてはいけない。何があっても、負けてはだめだよ。強くなれ!頑張れ!頑張れ!頑張るんだよ」

伸一の言葉には、厳しさのなかにも、優しさがあふれていた。


太字は 『新・人間革命』第9巻より 抜粋
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