『新・人間革命』第8巻 布陣の章 P18~
会長就任3周年の本部総会での山本伸一の講演となった。
伸一は、この席で、4月に行われた統一地方選挙の際に、一部の評論家やマスコミが盛んに取り上げた、”学会は保守か、革新か”という問題を明らかにしておきたかった。
「創価学会は、どれほど社会のために貢献しても、決して、ほめられることはなく、常に批判にさらされてまいりました。しかし、その批判の根拠は何かを見ていきますと、極めてあいまいなものにすぎません。」
「世間は、学会を保守か革新かに立て分けたいと思いながらも、確かな答えを出せないでいるのが実情のようです。そもそも、保守・革新という枠にあてはめ、物事をとらえようとする考え自体が、いかに革新を口にしようが、既に保守的な思考に凝り固まった行き詰まった姿であると、私は思うのであります。」
ついで伸一は、学会の根本的な立場について、言及していった。「経文には、『無量義とは一法より生ず』と仰せですが、南無妙法蓮華経を、御本尊を根本とし、日蓮大聖人の生命の大哲理を根底に、全世界の民衆を幸福にし、永遠の平和を築いていくのが、学会の精神であります。」
「したがって、保守の人であろうが、革新の人であろうが、三世のうえから、すべて平等に幸福の道を教えていくのが、私どもの使命といえます。」
「自由主義も社会主義も、保守も、革新も、ともに指導していく大哲理に生きるのが、わが創価学会です。」
伸一は、大事な会員が、学会を政治の次元でとらえようとする世間の論評に惑わされ、信仰の王道を見失っていくことを憂慮していたのである。さらに、公明政治連盟の拡大につれ、学会を利用したり、便乗して、学会の組織をせんきょのために上手に操ろうとする人間が、出てくることを警戒していた。
「私どもは、どこまでも、信心第一に進んでまいりたいと思うのであります。」「人間の本当の輝きは、なんによって決まるか。」「日蓮大聖人の弟子として、仏の使いとして、不幸な人びとの味方となりゆくことです。そのわが使命に生き抜く時に、最高最大の歓喜と輝きの人生を歩むことができる。」
「この内なる生命の燃焼こそが、色褪せぬ人間性の輝きであり、三世を荘厳する光彩であります。ゆえに、生涯、流れる水のごとき信心を貫き、自身を成長させながら、また、一家の和楽を築きながら、尊き使命の大道を、誉の大道を、ともどもに前進していこうではありませんか」
今、会長就任三周年の、新しき旅立の号砲は鳴りわたった。決意を込めた拍手が、ドームに響きわたった。
山本会長が上着を脱ぎ、扇を手にして、すっくと立ち上がた。伸一は大空を舞う大鷲のように、悠々と、堂々と舞い始めた。
この日から、また再びの伸一の陣頭指揮が始まったのである。
会長就任3周年の本部総会での山本伸一の講演となった。
伸一は、この席で、4月に行われた統一地方選挙の際に、一部の評論家やマスコミが盛んに取り上げた、”学会は保守か、革新か”という問題を明らかにしておきたかった。
「創価学会は、どれほど社会のために貢献しても、決して、ほめられることはなく、常に批判にさらされてまいりました。しかし、その批判の根拠は何かを見ていきますと、極めてあいまいなものにすぎません。」
「世間は、学会を保守か革新かに立て分けたいと思いながらも、確かな答えを出せないでいるのが実情のようです。そもそも、保守・革新という枠にあてはめ、物事をとらえようとする考え自体が、いかに革新を口にしようが、既に保守的な思考に凝り固まった行き詰まった姿であると、私は思うのであります。」
ついで伸一は、学会の根本的な立場について、言及していった。「経文には、『無量義とは一法より生ず』と仰せですが、南無妙法蓮華経を、御本尊を根本とし、日蓮大聖人の生命の大哲理を根底に、全世界の民衆を幸福にし、永遠の平和を築いていくのが、学会の精神であります。」
「したがって、保守の人であろうが、革新の人であろうが、三世のうえから、すべて平等に幸福の道を教えていくのが、私どもの使命といえます。」
「自由主義も社会主義も、保守も、革新も、ともに指導していく大哲理に生きるのが、わが創価学会です。」
伸一は、大事な会員が、学会を政治の次元でとらえようとする世間の論評に惑わされ、信仰の王道を見失っていくことを憂慮していたのである。さらに、公明政治連盟の拡大につれ、学会を利用したり、便乗して、学会の組織をせんきょのために上手に操ろうとする人間が、出てくることを警戒していた。
「私どもは、どこまでも、信心第一に進んでまいりたいと思うのであります。」「人間の本当の輝きは、なんによって決まるか。」「日蓮大聖人の弟子として、仏の使いとして、不幸な人びとの味方となりゆくことです。そのわが使命に生き抜く時に、最高最大の歓喜と輝きの人生を歩むことができる。」
「この内なる生命の燃焼こそが、色褪せぬ人間性の輝きであり、三世を荘厳する光彩であります。ゆえに、生涯、流れる水のごとき信心を貫き、自身を成長させながら、また、一家の和楽を築きながら、尊き使命の大道を、誉の大道を、ともどもに前進していこうではありませんか」
今、会長就任三周年の、新しき旅立の号砲は鳴りわたった。決意を込めた拍手が、ドームに響きわたった。
山本会長が上着を脱ぎ、扇を手にして、すっくと立ち上がた。伸一は大空を舞う大鷲のように、悠々と、堂々と舞い始めた。
この日から、また再びの伸一の陣頭指揮が始まったのである。
彼は、自らの行動を通して、学会の真実の精神を、幹部の在り方を、皆に教えようとしていたのである。
太字は 『新・人間革命』第8巻より