小説 新・人間革命に学ぶ

人生の 生きる 指針 「小説 新・人間革命」を 1巻から30巻まで、読了を目指し、指針を 残す

第1回野外文化祭

文化祭開催の意義

『新・人間革命』第10巻 幸風の章 P130~

伸一は言った。「ありがとう!あなたが、広宣流布への決意を定めてくだされば、私がアメリカに来た目的は、すべて果たせたといっても過言ではありません。一人の人が、あなたが、私と同じ心で立ち上がってくだされば、それでいいんです。大河の流れも一滴の水から始まるように、あなたから、アメリカの平和の大河が始まるからです。わがアメリカを、よろしく頼みます」
その青年は、伸一の手を、両手でぎゅっと握りしめた。

ロサンゼルス会館では、アメリカのメンバーと勤行し、懇談会をもった。
「なぜ、今回文化祭を行ったのか、なんのための文化祭であったのか。アメリカの人びとに、学会の真実の姿を見てもらい、学会への理解を促すということも、大きな目的の一つです。しかし、何よりも、大切なことは、皆さんが幸せになっていくための文化祭であるということです。」

「今回の文化祭は、グラウンドの整地から始まり、寺院の起工式の準備をしながら、練習に励むという、極めて大変な条件のなかでの文化祭であったと思う。」
「皆さんは、文化祭を大成功させるために、不可能と思われた限界の壁、困難の壁を、一つ一つ破ってこられた。そしてこの文化祭を通して、自身と、信心への揺るぎない確信をつかまれたことと思う」

「実は、それが、何よりも大事なことなんです。人生には、さまざまな試練がある。病に倒れることもあれば、仕事で行き詰まることもある。その時に、悠々と乗り越えていくためには、生命の鍛錬が必要です。精神の骨格となる、信心への大確信が必要なんです。」

「この文化祭に全力で取り組み、唱題を根本に、あらゆる困難を克服してこられた皆さんは、“仏法に行き詰まりはない”との体験をつかまれたと思います。こうした体験を、どれだけ積んできたかによって、仏法への揺るぎない大確信が育まれ、何があっても負けることのない、強い自身の生命が鍛えあげられていきます。」

「そのための『場』となるのが、学会活動です。また、文化祭でもあります。つまり、自分の幸福の礎を築いていくための活動なんです。」メンバーから拍手が起こった。学会活動の意義を、よく理解することができた、喜びの拍手であった。

伸一は、「来年は、ブラジルでも文化祭をやろう」と南米本部長の斉木と妻に言った。二人を文化祭に招いたのは、そのためでもあった。

斉木の妻は、幼少から喘息に苦しみ、娘の病を治したい母が入会し、母の勧めで信心を始めた。斉木と結婚すると克服したと思った喘息の発作が起きるようになった。彼女はブラジルに単身赴任する斉木が帰国する3年の間に信心でこの病気で苦しむ宿命を転換しようと真剣に学会活動に励んだ。

帰国した斉木は、健康になった妻を見て、学会に関心をもつようになり、やがて入会したのだ。山本伸一は、再び単身赴任する斉木に 入会したばかりの青年であったが、男子部の南米部長に任命した。

彼は、仕事にも、人一倍、力を注いだ。学会の組織での信頼も厚かった。ブラジルの男子部は、最初100人ほどであったが、2年を迎えるころには、5~600人になっていた。

会社から帰国の支持が出たが、斉木は、生涯をブラジル広布に捧げ、ブラジルの土になるのだ!と決意する。彼は、東京外国語大学を卒業し、商社マンとなって以来、エリートコースを歩き続けてきた。商社マンとしての彼は、未来を嘱望されていた。

しかし、そんな自分の栄誉栄達よりも、はるかに大きく重要な、人間としての使命があることを、彼は自覚しつつあった。帰国すると会社に辞表を提出し、貿易の仕事で独り立ちする決意をした。

ブラジルをはじめ、南米の組織は、さらに大きな発展を遂げようとしていたのである。


太字は 『新・人間革命』第10巻より 抜粋

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アメリカ エチワンダで 第1回の野外文化祭開催

『新・人間革命』第10巻 幸風の章 P117~

起工式に引き続き、新しい組織の布陣と新任幹部の発表、支部旗などの返還授与が行われた。
ハワイ総支部などが誕生し、6総支部に分割された。また、男子部の武藤靖が、アメリカ本部の副本部長に就任し、アメリカ本部の事務長として、現地法人の職員となった。

エチワンダの寺院建設用地のグランドには、照明がともされ、あとは、第1回の野外文化祭の開催を待つばかりとなった。

しかし、ワッツ地区の騒動でバスが遅れたり、運行を取りやめたりしているために、かなりの出演者が、到着していなかった。ロサンゼルスから 自家用車で メンバーがピストン輸送にあたったが、とうてい対処しきれなかった。文化祭の開会時刻は、刻々と迫っていた。

文化祭の指導にあたっていた黒木昭は「ともかく、今いるメンバーで行う以外にない。グループの編成も変えることにしよう」と決断した。もはや、そうするしかなかったのである。

午後8時過ぎ、文化祭は開会となった。入場行進には大客殿の落慶法要に参加した、アメリカ女子部の鼓笛隊も 手作りの衣装で40名が参加していた。

カナダ、メキシコからも多くのメンバーが参加していた。1300人の堂々の入場行進のあと、婦人部のコーラスと女子部のダンス、男子部200名による体操となった。

メンバーには、さまざまな人種の青年がいる。黒人も白人もいた。それが互いに、強く、強く、スクラムを組み、実に見事な、芸術的な演技を展開しているのである。最後に「4段ピラミッド」が堂々と築かれ、男子部の演技は終了した。

取材にあたった、一人の記者が語っていた。「ここにこそ、人類の真実の平和と、平等主義の現実があった」と。

メンバーは、黒人も白人も一緒になって、この野外文化祭の成功を祈り、練習に励んできたのである。
騒ぎが起こってからは、白人のメンバーが、ワッツ地区に住む黒人の同志のことを心配し、安全な地域にある、自分の家に泊めたり、練習会場まで、車で送迎する姿も見られた。

その人間愛と友情が、見事なる団結の演技を織り成したのである。
あのキング牧師は、「私には夢がある」と訴えた。そして、「それは、いつの日かジョージア州の赤土の丘の上で、かつての奴隷の子孫とかつての奴隷主の子孫が、ともに兄弟愛のテーブルに着くことができることである」と。

役員の黒人青年ロバートは、この演技を見ながら、しみじみと思った。“学会は、私たちに、キング牧師が語った「夢」を、着実に、現実のものにしているのだ。なんと、すばらしいことだろうか。私たちの手で、きっと、このアメリカ社会を変えてみせる!”

野外文化祭は、婦人部の美しい民謡から、ハワイ総支部員250人による、ハワイアンフラダンスが始まった。飛行機2機をチャーターし、太平洋を超えて、勇んでやって来たのである。

ロサンゼルス婦人部300名による「黒田節」の躍りでは、伸一に促され、同行の幹部も歌や踊りに参加し、出演者と観衆とが一体になってフィナーレとなった。

伸一は、グランドを後にし、車に向かう途中、立っていた役員の青年たちに、励ましの声をかけ、次々と握手を交わした。

一人のアフリカ系アメリカ人の青年が駆け寄って来て、手を差し出した。

「こんな危険な時に、アメリカにおいでいただき、本当にありがとうございます。その先生の行動から、私は“勇気”ということを教えていただきました。また、人びとの平和のために生きる、”指導者の心”を教えていただきました。私は、勇気百倍です。必ず、いつの日か、私たちの力で、人種間の争いなどのない、人間共和のアメリカ社会を築き上げてまいります。ご安心ください」

こう語る青年の目から、幾筋もの涙があふれた。

太字は 『新・人間革命』第10巻より 抜粋

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