『新・人間革命』第2巻 民衆の旗 p297~


ルネサンスとは「再生」「復興」という意味である。
ヨーロッパの中世、キリスト教の「神」を頂点とするピラミッド型の
位階秩序が、強固に世界を支配していた。身分や地位で、人間の価値が決まっていた。


人びとは、神の名の下に定められた不条理な秩序への服従に、強い疑問をいだき、
遂に、変革の何が起こった。
フィレンツェから起きた波は大波となって社会に広がり、古臭いしきたりの封印をはぎ取り、
神と教会のくびきから人間を解き放ったのだ。


しかし、それによって、人間は真の自由を、真の歴史の主役の座を手にしたであろうか。


むしろ、意に反して、人間は自らを律する術を失くし、「制度」や「イデオロギー」、
あるいは、「科学」や「技術」の下僕と化しはしなかったか。


自由への道はいわば複雑な矛盾と背理の迷路であった。
それは、人間そのものの不可解さ、複雑さであり、矛盾にほかならない。


山本伸一は、学生たちに訴えていった。
「真実の人間復興、文芸復興を進めていくには、人間を開花させる、
 内なる生命の至極の法を求めゆくことが不可欠です。
 それによって、人間自身の生命の変革、すなわち人間革命がなされてこそ、
 人間復興も可能になる。そして、その哲学こそ、色心不二の日蓮大聖人の仏法であり、
 それをなすのが私どもであると、宣言するものでございます。」


「願わくは、学生部の諸君は、信心を根本として、科学界に、政治界に、
 あるいは文豪として、また、大芸術家として、世界に羽ばたいていただきたい。
 自分自身も喜びに満ち、最高の幸せを感じつつ、
 すべての人びとに、希望と幸福を与えていける偉大なる人材であられんことを、
 心から切望し、私の話とします。」
若き瞳が光り、拍手は暁鐘のように鳴り響いた。


太字は 『新・人間革命』第2巻より抜粋