小説 新・人間革命に学ぶ

人生の 生きる 指針 「小説 新・人間革命」を 1巻から30巻まで、読了を目指し、指針を 残す

極秘会見

婦人部に与う

『新・人間革命』第7巻 操舵の章 P331~

2月1日、2月度の男子部幹部会で、世界の現状について言及していった。「今や、世は“無責任時代”といわれ、このまま放置していれば、世界はますます混迷の度を深めていく」

「わが創価学会は、一国の繁栄や利益のために、あるいは、一国を守るために、他の国を犠牲にしては
絶対にならないし、そのための指導原理こそが仏法です。ゆえに、その仏法を持った私どもが立ち上がり、10年先、20年先、いや、100年先の人類のために、平和と幸福を樹立する哲学の種子を、世界にまいてまいろうではありませんか。」


「戸田城聖先生の『原水爆禁止宣言』には、核戦争の脅威から人類を解放しゆく、大原理が示されております。私は、この宣言の精神を、どんなことがあっても、人類のため、子孫のために、世界の指導者に、絶対に伝え抜いていかなければならないと、強く決意しておりました。」

そして、アメリカのケネディ大統領との会見が具体化していたところ、日本の政界から横槍が入り、恩着せがましい、お節介なことを言い出す政治家がいて、学会が政治的に利用されることを阻止するために、今回は ケネディとの会見を見送ることにしたと話した。
会見の機会を逸した伸一とケネディ。この約10か月後、ケネディは 銃弾に倒れたのである。

また、女子部幹部会では、平和の実現への1つのステップとして、世界各国の首脳が一堂に会して、3か月に1度でもよいから、平和のための協議をすることを提唱した。

「伝統の二月」婦人部の活躍は目覚ましかった。婦人部は学会の太陽である。というのが山本伸一の確信であった。彼は、婦人部に感謝と敬意をこめて、未来への希望となる指針を贈りたいと思った。

戸田城聖の誕生日にあたる2月11日、「婦人部に与う」との題名の婦人部への指針の冒頭には戸田の和歌「白ゆりの香りも高き集いかな 心の清き友どちなれば」を記した。そこには、学会婦人部の姿が、象徴的に示されているからである。

「この歌のごとく、清らかな、そして、水のごとき信心を根本に、一生成仏をめざし、また、広宣流布達成まで、団結強き、世界一の婦人部であっていただきたい。」

さらに、広範な婦人の使命ついて言及していった。「学会婦人は、学会内からは当然のこと、一般社会の人びとからも、信頼され、好かれる婦人であるべきである。」


最後の創価学会婦人部こそ、妙法を抱きしめた、真の女性解放の先駆者である。自由と平和の旗を掲げた名誉を自覚し、仲良く、楽しく、美しく前進していこうではないか」との一節では、誰もが電撃に打たれたような思いにかられた。

彼女たちの多くは、経済苦や病苦にあえぎながら、自身の、わが家の宿命転換を願い、ただ幸福になりたいとの一心で、懸命に信心に励んできた。しかし、信心の目的は、それだけではなく、「女性解放」という、もっと大きく崇高な使命を果たすためであることを自覚したのである。

「女性解放」とは、単に制度などの社会的な差別からの解放にとどまるものではない。いっさいの不幸からの解放でなければならない。彼女たちは、自らの体験を通して、その唯一の道が日蓮仏法にあることを確信することができた。

この指針を受け、婦人部は 学会員である人も、ない人も、その地域中の人びとを 幸福にしていく責任を感じ、常日頃から、不幸に泣く地域の人びとを、一人も残らず、励ましていくのだとの決意で、広宣流布の活動に取り組んでいこうと新たな決意で出発した。



太字は 『新・人間革命』第7巻より

ケネディ大統領との極秘会見

『新・人間革命』第7巻 操舵の章 P319~

山本伸一は、前年10月の“キューバ危機”を思い起こした。
ケネディは、現代人のおかれた状況を、古代ギリシャの故事にある「ダモクレスの剣」にたとえた。大量の核兵器の下で生きている人類の姿は、この「ダモクレス」と同じであると指摘したのである。

それから1年後に、“キューバ危機”が起こった。
ケネディならば、恩師の「原水爆禁止宣言」の心を深く理解するであろうし、彼の偉大な人格は、全人類の幸福と平和を願う恩師の精神と、共鳴の調べを奏でるにちがいないと、伸一は確信していた。

彼は、そのために、ケネディに提案したいことがあった。それは、米ソ首脳会談の早期再開であった。また、伸一は、核を廃絶し、恒久平和への流れを開くために、米ソ首脳会談とともに、世界各国の首脳が同じテーブルに着き、原水爆や戦争の問題などを忌憚なく語り合う、世界首脳会議の開催も提案しようと考えていた。

「相互不信」「疑心暗鬼」という、暗い深淵が横たわっている。この深淵を埋めるのは、各国の最高指導者の胸襟を開い語らい以外にない。もちろん、伸一は、一朝一夕で「不信」が「信頼」に変わるほど簡単なものではないことは、よくわかっていた。

だが、対話へと踏み出さずしては、永遠に事態を変えることはできない。一見、迂遠な道のように見えても、結局は、それが平和への最も近道であるというのが、彼の信念であった。

彼は、世界の平和への突破口を開くために、ケネディとの語らいに多大な期待を寄せていた。いや、そこにかけていたといってよい。

ーーところが、その後の事態は思わぬ展開を遂げることになる。

極秘で準備を進めていたが、外部の知るところとなり、突然、政権政党の大物といわれている古老の代議士が、伸一に会見を求めてきたのだ。

代議士は、ケネディと会うことに難癖をつけ、自分たちの圧力で、いつでも会見などつぶしてみせるという威嚇であった。

代議士は、伸一の反応をうかがいながら、「私が骨を折ろうと思う。私が動けば、反対を抑え込むことはできる」「その代わりといってはなんだが、君にも力を貸してもらいたい」と話す。

伸一は、黙って聞いていたが、彼の頭は目まぐるしく回転していた。
ーーこの代議士の狙いは明らかだ。私に恩を着せ、それを糸口に、学会を政治的に利用しようというのであろう。

この純粋な学会の世界が掻き回されるようなことは、絶対避けなければならない。しかし、この政治家の意向を無視すれば、ケネディ大統領との会見をつぶしにかかるだろう。そして自分たちの力を見せつけ、勝ち誇ったように、何度でも、自分の軍門に下れと言ってくるにちがいない。

こんな政治家たちに付け入る隙など、あたえてなるものか!
守るべきは学会である。私は自分のために会おうというのではない。彼らにお願いしてまで、合わせてもらう必要はない。伸一は航路を急旋回させたのである。


「ケネディ大統領との会見の話は、なかったことにいたしましょう。すべて中止します。」

伸一の回答は、あまりにも、予想外であったのであろう。狼狽したのは、代議士の方であった。


「私は、皆さんのお力をお借りして大統領とお会いするつもりは、毛頭ありません。それでは話が違ってきます。また、大統領と会って、泊をつけようなどという卑しい考えも、私にはまったくありません。」

「私がケネディ大統領とお会いしようとしたのは、人類の平和への流れをつくりたかったからです。東西両陣営の対話の道を開きたいからです。公明会をつくったのも、民衆のための政治を実現させたいからです。現在の政権が、あまりにも民衆を度外視しているから、私たちが一石を投じたんです。」

代議士の額には、汗が噴き出していた。会見は終わった。

ケネディと伸一との会見は、こうして白紙に戻った。伸一は、学会に迫る、政治権力の影を感じた。
彼らの本質は、嫉妬以外の何ものでもない。

学会は、これからも、政治権力に、永遠に狙われ続けるであろうことを、覚悟しなければならなかった。



太字は 『新・人間革命』第7巻より

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