小説 新・人間革命に学ぶ

人生の 生きる 指針 「小説 新・人間革命」を 1巻から30巻まで、読了を目指し、指針を 残す

感謝の心

感謝の心で 生涯戦い続ける

『新・人間革命』第16巻 入魂の章 57P~ 

会館周辺を回って同志を激励しようという山本伸一に、高見は、伸一の体を心配するが、一瞬たりとも、無駄に時間を過ごせないという伸一だった。

会館の外で警備をしている男子部員を 懸命に激励する伸一。東京から同行してきた幹部たちは、ただ、黙って見ていた。すると伸一は、厳しい口調で言った。

「どうしてあなたたちは、役員として一生懸命に働いてくださっている方々に、ねぎらいの言葉をかけ、お礼を言おうとしないのだ!」

「同志の方々が、献身的に学会のためにつくしてくれていることを、いつの間にか、あたりまえのように思っている。それが実感できなくなっていること自体、官僚主義に陥り、傲慢の心に毒されているんです」彼は、幹部には常に厳しかった。

御書には、「かくれての信あれば・あらはれての徳あるなり」と記されている。人が称賛してくれるかどうかではなく、広宣流布のために頑張れること自体に、最高の喜びと感謝を感ぜずにはいられないはずである。そして、その感謝の心が、また功徳、福運を増していくのである。

しかし、だからといって、さまざまな任務に積極的に取り組んでくださる同志の献身を、幹部が当然のように考えるのは誤りであり、それは、傲慢である。

大聖人は、信心に励む人への接し方について「当に起って遠く迎うべきこと、当に仏を敬うが如くすべし」との経文をひかれ、“仏に接するように互いに尊敬していきなさい”と御指導されている。仏に等しい同志の献身的な行為に感謝がないのは、この精神をふみにじっていることになる。ゆえに、伸一は、幹部に、同志に対する姿勢を、徹底して訴えておきたかったのである。

“自分が必ずやり抜くのだ”という責任感が強い人ほど、同志への感謝の念は強くなる。力を合わせてくれる人のありがたさが、身に染みるからです。

一人では、戦いは勝てない。したがって、幹部は同志に心から感謝し、頭を下げ、土下座する思いでお願いして、訴え、励ますんです。それが本当の幹部の姿です」

「特に青年部で幹部になった者は、自分が人より偉いかのように、錯覚しないことです。」「立場的には、青年部の最高幹部になったとしても、それで、自分に力があり、皆から信頼され、尊敬されていると思い込んではいけない。」

「ゆえに、自分は、まだ若く、未熟者なのだと、常に言い聞かせ、謙虚に真剣に研鑽を重ね、力をつけていくことです。その謙虚な姿、誠実さに、人はついてくる。信心の強情さは人格に現れる」

話題が「本土復帰後」の問題になった時、壮年が「具体的に、何をテーマにして進んでいけばよいのでしょうか」と質問した。

「私たちは、政治を厳しく監視し、政治を民衆のためのものにしていく使命と責任がある。もう一つ見落としてはならないことは、今後、本土から、快楽的、消費的な文化や、拝金主義的な風潮も入り込んでくるということです。そのなかで、沖縄人の純粋で豊かな心を、どうやって守り、育んでいくかです。」


「青少年に、人間の真実の価値とは何か、人生を生き抜くために何が大事なのかを教え、人間性を磨き、鍛え、輝かせて生ける教育ができるかどうかが、沖縄の未来を決定づけていくことになる。そして、それを本当にできるのは、創価学会しかないことを、私は断言しておきます。「若い世代を、育てましょう。信心も親から子へ、子から孫へと、きちんと継承していってもらいたい」

高齢者の方には、御書をひきながら合掌する思いで語った。「一生成仏のためには、最後の最後の瞬間まで、絶対に信心の歩みを止めてはならないとの御指導です。」

「足腰が立たなくなっても、正義を書きつづる手があります。手が動かなくなっても、仏法を語る口があります。また、御本尊を見つめ、御書を拝する目があります。命の尽きる瞬間まで、這ってでも、戦って、戦って、戦って、戦い抜いていきます。私はその決意です。そこに仏道が、わが人生の完勝があるからです」

太字は 『新・人間革命』第16巻より 抜粋

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ヨーロッパの 希望の光

『新・人間革命』第9巻 光彩の章 P288~

「20世紀は、『戦争と革命の世紀』といわれているが、同時に、人間革命の開幕の世紀となるだろう。いや、むしろ、人間革命の開幕の世紀ゆえに、20世紀は、人類史上、最も輝かしい、生命の光彩の世紀への序曲として記録されることになると、私は確信している。」

話は、雄大な広がりを見せ、希望の光が差していくかのようであった。
伸一は、ドイツの青年たちをパリに招いていた。ドイツの青年たちのことを考え、カレーライスをつくってくれるように、頼んだ。

青年たちと懇談しながら、夫が未入会であり、そのなかで、西ドイツから来てからも懸命に学会活動に励んできたミツコ・ナカハタに家庭のことを心配し、家族への配慮をするように指導する。

婦人が学会活動に励むには、当然、家族の理解と協力が必要になる。理解を得るには、家庭を大切にすることである。家族の間にあって、信頼と尊敬を勝ち得ることだ。しかし、ともすれば、自分が信心に励み、学会活動をしているのは、一家の幸福のためなのだから、家のことは手を抜いても仕方がないと、考えてしまいがちである。それは、甘えであり、信心の利用といってよい。

パリの指導会に臨んだ伸一。フランスのメンバーのジャンヌの体験が感動を呼んだ。さらに、娘に仏法を勧めたジャンヌの母は、言った。「私はレジスタンス運動に加わりながら、"フランスが解放されれば、平和が訪れる。平和が訪れれば、私たちは幸せになれる"と信じてきました。」

「しかし、私は、娘の病に苦しんできましたし、娘を幸福にしてあげることもできませんでした。ところが、仏法に巡りあうことによって、長年、苦しみ続けてきた病に、娘が打ち勝ったのです。私の仕事である画廊の経営も、軌道に乗り始めました。」

「一人ひとりが、幸福になってこそ、本当の平和です。私はこの仏法を人びとに教え、悲願としてきた真実の平和のために、生きようと決意しています」

伸一は、ヨーロッパの組織の基盤が、着々と築かれつつあり、新しい人材が、陸続と育ってきたことが嬉しかった。

10月16日、伸一の一行は、パリを後にし、ノルウェーのオスロに向かって旅立った。その途中、ソ連のフルシチョフ首相が辞任したというニュースが流れた。その日には中国が、初の核実験を行ったと発表。イギリスでは、労働党が保守党を破り、政権に返り咲いたとのニュースも流れ、伸一は、世界の激動を肌で感じた。

オスロ空港では、橋本浩治が出迎えた。学会員と言っても、自分たち夫婦と、もう一人のメンバーしかいないところに、山本会長がわざわざ来てくれることに、申し訳なさを覚え、胸がいっぱいだった。

約束を果たしに来てくれた伸一に、感謝する橋本。伸一は、「感謝がある人は幸せであるというのが、多くの人びとを見てきた、私の結論でもあるんです。裏切っていく人間には、この感謝の心がないというのも真実だ。感謝がない人間は、人が自分のために、何かしてくれてあたりまえだと思っている。」

「すべては自分にある。自分が何をなすかだという、人間としての"自立の哲学"がないからなんだ。その哲学こそが、仏法なんだよ。
」と感謝しなければならないのは、私の方だと話した。

ノルウェーからの帰途、飛行機の窓からオーロラが見えた。伸一は、思った。「宇宙は、こんなにも輝きに満ちている。小宇宙である人間もまた、本来、まばゆい光に満ちているはずである。その人間の光彩をめざして、人間のなかへ、生命のなかへ、私は励ましの旅を、断固として続けよう。人類の闇を開くために、輝ける人間の勝利の時代を開くためにーー。

<光彩の章 終了>


太字は 『新・人間革命』第9巻より 抜粋
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新・人間革命 第30巻 下 / 池田大作 イケダダイサク 【本】


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