小説 新・人間革命に学ぶ

人生の 生きる 指針 「小説 新・人間革命」を 1巻から30巻まで、読了を目指し、指針を 残す

悪性インフレの原因

青年は正義に生きよ

『新・人間革命』第18巻 飛躍の章 319P~

人間にとって「志」が大切であることを強調していった。「社会は、本然の『人間としての志』をめざすことを忘れて、『物財』を追い求めることに傾斜していったといえます。『忘れる』の『忘』という字は『心』と『亡ぼす』から成り立っておりますが、志を忘れれば、精神は滅亡することを、この字は教えているように思えます。人間らしい志を失った社会は、無慈悲と教条主義と無知がまかり通る、殺伐した社会になってしまう」

伸一は、その精神を蘇生させる場こそ、座談会であり、座談会を青年部の力によって、生命触発の「人間広場」としていくことを期待していたのである。また、青年は正義に生きよと呼びかけた。

「信心の道を進む者は『正義感』を決して失ってはならない。信仰の世界にあっては、"濁"は呑んではならない。そこから必ず『正義感』を失い、結局は無気力な日陰の人物になってしまうからです」

さらに彼は「鍛え」の大切さを力説し、「鍛えがなければ、人生の土台は築けない。どんなに辛いことがあろうとも、唱題に励み、挫けることなく、自身を築き上げていくことが、『生死即涅槃』の法理に通じるのであります。」と訴えたのである。

それらの指導は、青年部の生き方の規範となる重要な指針となった。

福岡の県長である丸山善信が「ぜひ田川会館にお寄りください」と意を決したように口を開いた。

田川は、筑豊炭田最大の炭鉱都市であったが、炭鉱が閉山になり、皆、生活苦にあえいでいた。田川の一粒種の婦人が「田川の人たちは、どうしたら幸せになるでしょうか」と訴えていた。同志も職を失い、次々と都会へ移っていった。

青年部員はほとんどいなくなり、座談会を開いても、参加者はわずか5,6人になってしまった。婦人の質問に伸一は確信に満ちた声で答えた。「どんな事態に追い込まれようが、必ず活路を開いていけるのが信心です。負けてはいけない。そして、題目を唱え抜いて、同志を守ってください。頼みますよ」

田川のメンバーは、山本伸一への誓いを託して、愛唱歌「田川に春を」を作詞作曲し、いつかこの歌を山本先生に聴いていただくのだと、この歌を歌いながら、試練の坂道を越えてきた。田川のメンバーは、晴れの本部幹部会で、高らかに、誇らかに「田川に春を」を合唱した。それは、時代の波浪を乗り越えた、民衆の歓喜の凱歌であり、全同志の希望の歌声となったのである。

26日、香港へ出発する伸一。山本伸一の香港訪問は何紙かの地元紙にも報じられた。13年前、香港初訪問の折に、彼が宿泊したホテルで「歓迎の夕べ」に招待された。初訪問した時、メンバーは実質10世帯に満たなかった。

その時に結成した香港地区が、今や香港本部となり、8千世帯を超える同志が、喜々として信心に励んでいるのだ。まさに、千倍近い大飛躍を遂げたのである。伸一は、メンバーが語る、この10年間の歩みに耳を傾けていった。
伸一は、大飛躍の原動力はどこにあったと思うかと尋ねた。

「みんなに、学会の指導の通りに実践して、功徳を受けたという喜びがあったことです。また、一部の人たちだけが頑張るのではなく、みんなが使命を自覚し、力を発揮していけることを目標にし、丹念に個人指導を行ってきました。特に新しく信心を始めた人を徹底して激励し、勤行と仏法対話ができるようになるまで応援しました。この人たちが拡大の力となったんです」


しかし、「行懈既に勤めぬれば三障・四魔・紛然として競い起こる」との法理道理、香港にも試練の嵐が吹き荒れたのである。70年、日本で「言論・出版問題」が起こり、創価学会が激しい攻撃にさられると、その影響は香港にも及んだ。学会は、反社会的な団体であるとする喧伝に、香港の一部のマスコミも同調したのである。



太字は 『新・人間革命』第18巻より 抜粋

青年部による日本国憲法擁護アピール採択

『新・人間革命』第18巻 飛躍の章 306P~

1月20日、第二十二回「青年部総会」が晴れやかに開催された。会場の北九州市立総合体育館に喜々として集って来た。全国の青年部総会を、首都圏以外の地で初めて行うとあって、九州の青年たちは先駆の誇りに燃えていた。

女子部長の吉川美香子が登壇し、「若い女性の連帯を広げよう」と題して語った。
「最近の若い女性の一般的な傾向として、自分の手を汚したがらず、苦労を避ける。しかし、自分のことは認めてもらいたい。また、相手を受け入れることはしないーーというのです。」

「心から他人の生命の痛みを分かち合おうとする時、そこには深い友情の絆が生まれます。そして、友を思う真心は、自ら仏法対話となっていきます。いわば折伏は、友情の帰結であり、また、それによってさらに強い友情が育まれていきます。」

「私たち女子部は、『友の幸せのために、私はいかなる苦労も惜しまない。いな、それこそ私の最高の喜びである』と胸を張って、折伏・弘教の実践に邁進していこうではありませんか!」

女子部時代に折伏に挑戦することは、仏法者として、自分の生き方の芯をつくり上げ、福運を積むうえで、極めて重要なことといえよう。折伏はすぐには実らないかもしれない。しかし、仏法を語り、下種をし、末永く友情を育んでいくならば、いつか、その人も信心に目覚める日が来るものだ。

決して結果を焦る必要はない。大事なことは、友の幸福を願う心だ。仏法を語る勇気だ。勇気が慈悲にかわるのである。

男子部長の野村勇は、「社会の年」の具体的な実践として、青年が座談会運動の牽引力になることなどを訴えたあと、平和憲法の擁護について語った。

山本伸一が、平和憲法の擁護を訴えたのは、深刻な経済危機が進む日本の行方が、ナチスが台頭したドイツのワイマール体制末期のような事態になりかねないことを憂慮したからである。

ワイマール憲法は、民主主義の典型といもいうべき、当時の世界の先端をいく憲法であった。ところが、深刻な生活不安に悩むドイツ国民は、ナチスという協力な勢力に、その不安の解消を期待した。そして、首相のヒトラーに全権を委任する授権法案が国会で可決されたのだ。

それは、国民が自らの権利を放棄させられたことに等しかった。
人びとの幸福を実現するために、「生命の尊厳」と「人間の精神の自由」を、また、「民主主義」を、そして、「平和」を守り抜くのが、仏法思想を実践する創価学会の使命であると、伸一は考えていた。

その意味で、基本的人権の保障、国民主権、恒久平和主義をうたった日本国憲法の精神を守ることの重要性を、彼は痛感していたのである。

もちろん、時代も、社会も大きく変化していく。それにともない、長い歳月の間には、条文の補強や調整が必要となることもあろう。しかし、日本国憲法の精神自体は、断じて守り抜かなければならないというのが、伸一の信念であった。

野村は、この総会でアピールを採択したいと読み上げた。憲法も民衆という大地に根差さなければ、どんなに立派であっても、実を結ぶことはない。

青年部の首脳たちも、日本国憲法を守り抜くため、その精神を民衆の胸中深く浸透させることに力点を置いた運動を推進しようと考えたのだ。

具体的には、戦争体験者の悲痛な戦争否定の叫びを集大成する一大反戦出版活動に取り組む。また、昨年来進めてきた核兵器撤廃、戦争絶滅を要求する署名運動をすすめ、現在、300万を突破したが、これを1千万署名を勝ちとり、平和への願いとして、国連へ提出することなどを発表した。

山本伸一の講演となった。最近の異常な"悪性インフレ"は、利潤追求を至上目的とした社会の在り方自体が問題であり、精神変革、精神改良こそが、最も喫緊の課題であることを、強く訴えたのである。



太字は 『新・人間革命』第18巻より 抜粋

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