『新・人間革命』第27巻 激闘の章 298p~

伸一は、青年時代、よく自分のアパートに男子部員を招いて、激励した。「私が、多くの幹部を見てきて感じることは、個人指導を徹底してやり抜いてきた方は、退転していないということなんです。個人指導は、地味で目立たない永続的な忍耐の労作業であり、それを実践していくなかで、本当の信心の真価が図れるからです。さらに個人指導を重ねていくなかで、自分自身を見つめ、指導することができるようになるんです。だから退転しないんです。

折伏の成果は、すぐに目に見えるかたちで表れるので、周囲の同志から賞賛もされます。それによって慢心になり、信心が崩れていってしまった人もいました。したがって、折伏とともに、個人指導に全力を傾けていくことが、自分の信心を鍛え、境涯を高めていく必須条件なんです。」

5月18日、伸一の活動の舞台は、福岡から山口に移っていた。伸一は、座談会の在り方について、この山口の地から、全国に向けて、発信しようと考えていたのである。伸一は、座談会を構成する柱について言及していった。「座談会で重要なものは、なんといっても功徳の体験です。そして、信心の確信に満ち満ちた指導です。

それは、皆の信心の、また生活の、活力源となっていきます。活動の真実の成果というのは、単に弘教などの数ではなく、何人の方が、功徳の体験をもつ、どれだけ信心への確信を深めていったかなんです。幹部は、自身がたくさんの功徳の体験を積み、歓喜と躍動の生命で、激励と指導にあたっていただきたいんです。

根本は、信心の大確信であり、それが、参加者に伝わって、皆が“よーし、がんばるぞ!”と、決意できてこそ、本当の指導なんです。次に、幹部は、参加者の信心と努力の結晶である、それぞれの尊い発言を、どこまでも尊重していくべきであると、申し上げておきたい。

座談会は、仏法を現代に展開していく学会の伝統行事といえます。座談会では、御書をはじめ、仏法のさまざまな法理も学びます。そして、その法理を、それぞれが自身の生活の場で実践して、体験をもって正しさを証明してきました。さらに、その体験を座談会で語り合い、仏法への確信を再確認し合ってきました。

仏法の法理を生活の場で実験証明した結果が、生き生きと語り合われる座談会には、仏法を社会に開く実験的展開があります。ゆえに、広宣流布の前進は、座談会に始まり、座談会に終わることを、深く銘記していただきたいのであります」

伸一は、要約して信心の基本姿勢について語った。「南無妙法蓮華経とは、宇宙の根本法則であり、それを曼荼羅として顕したのが、御本尊であります。その御本尊に対しては、何があっても決して疑うこと無く、純粋な信心を貫いていくことが肝要なんです。

私たちには、過去世からの様々な宿業があります。悪業ももっています。したがって、信心を始めたからといって、すぐに宿命の転換ができるわけではありません。一生成仏といっても、それなりの時間が必要です。

皆さんも、信心をして、何か大変な事態に遭遇したならば、こう自覚していくことです。“いよいよ悪業が出始めたな。よし、変毒為薬していこう。これを乗り越えれば、大きく境涯を開いていけるぞ!”どうか、苦難に遭うごとに確信を強め、勇んで仏道修行に励んでいってください」彼は、全国の幹部たちに、本当の座談会の姿を学んでほしいとの思いから、自ら手本を示したのである。

5月19日、山口文化会館を発ち、広島文化会館に到着した。

太字は 『新・人間革命』第27巻より 抜粋