『新・人間革命』第20巻 信義の絆の章 313P~
伸一は、かつて日本の学生たちの集会で、「日中国交正常化提言」を行った信条について明らかにした。「中国とは、どんなことがあっても、友好を堅持しなければならない。二度とあの悲惨な戦争を繰り返してはならないーーこれは戦争によって肉親を失い、苦しんできた私の、若い時代からの信念でありました。」
「『諸君が、社会の中核となった時には、日本の青年も、中国の青年も、ともに手を取り合って、明かるい世界の建設に、笑みを交わしながら働いていけるようでなくてはならない。』」
私は、この信念のもとに中国を訪れました。私が、贈本をさせていただいたのも、この信条から教育交流を通し、相互理解を深め、力を合わせて輝かしい未来へ進んでいきたいと念願するからにほかなりません」日中友好への伸一の烈々たる思いが、胸に迫るスピーチであった。
伸一は、世界の平和のために、ただただ誠実に行動し抜いてきた。彼の話に、皆がその「心」を感じたのだ。「誠実」への共感に国境はない。「誠実」こそが、人間を結ぶ心の絆となるのである。伸一に続いて、北京大学側から丁重な謝辞があった。
図書贈呈式の後、伸一たちは、北京大学の図書館を視察した。贈呈した図書5千冊が、力学、数学、医学、工学、日本文学など、整然と分類して展示されていた。書物を大切にすることは、精神を大切にすることに通じよう。
図書館を視察したあと、日本語学科に学ぶ十数人の学生とテーブルを囲んで懇談した。彼は、学生たちの、日本人に対する、"心の壁"を取り除きたかった。中国は、日本軍との戦いで、多くの犠牲者を出した国である。その悲惨な歴史は、父や母などから、何度となく聞かされてきたにちがいない。それだけに、日本や日本人に対しては、当然、複雑な感情があるはずである。
日本人としては、過去の歴史を正しく認識し、詫びるべきは、真摯に詫びねばならない。そのうえで、触れ合いを通して、同じ人間として心を通わせ合い、信頼と友情の絆を結ぶことだ。歴史のなかでつくられてきた「わだかまり」や「誤解」という氷塊を溶かすものは、友誼への情熱であり、人間の心と心の触れ合いから生まれる温もりである。
ゆえに、民衆次元の交流が何よりも大切になるのである。夜には、北京大学の学生会主催による「歓迎の夕べが、大学の大講堂で開催された。大学をあげての「歓迎の夕べ」であった。
翌日は、北京大学の首脳と懇談した。そして、今後も密接な連携を取り合いながら、いつまでも、友誼を保ち続けていくことを確認し合った。
午後には、中日友好協会を訪問した。孫平化秘書長、林理事長らと意見を交換し合った。
12月4日の夜、伸一の一行は、人民大会堂で行われた、中日友好協会の廖承志会長による歓迎宴に出席した。日中の交流を本気になって推進する創価学会に対して、反中国的な勢力からは、激しい批判が浴びせられていた。しかし、伸一は、すべて覚悟のうえであった。
守るべきは、平和を願う人間としての信義である。日中両国人民の繁栄であり、幸福である。そのためには、何ものをも恐れず、揺るぎなき信念をもって、敢然と突き進んでいくつもりであることを、彼は表明しておきたかったのである。
太字は 『新・人間革命』第20巻より 抜粋
北京大学の学生代表に、創価大学の学生からのメッセージや論文集、また、この年の10月に行われた、創価大学の第一回「中国弁論大会」のテープなどを贈呈した。さらに、北京大学の付属小学校の児童には、日本の小学生の絵や書道の作品を贈ったのである。
高価な贈り物は何もない。しかし、互いの考えや思いを理解し合うには、最もふさわしい贈り物であったといえよう。伸一は、どうやって若い世代の、心と心を結び合わせるかを真剣に考えていたのだ。
伸一は、かつて日本の学生たちの集会で、「日中国交正常化提言」を行った信条について明らかにした。「中国とは、どんなことがあっても、友好を堅持しなければならない。二度とあの悲惨な戦争を繰り返してはならないーーこれは戦争によって肉親を失い、苦しんできた私の、若い時代からの信念でありました。」
「『諸君が、社会の中核となった時には、日本の青年も、中国の青年も、ともに手を取り合って、明かるい世界の建設に、笑みを交わしながら働いていけるようでなくてはならない。』」
私は、この信念のもとに中国を訪れました。私が、贈本をさせていただいたのも、この信条から教育交流を通し、相互理解を深め、力を合わせて輝かしい未来へ進んでいきたいと念願するからにほかなりません」日中友好への伸一の烈々たる思いが、胸に迫るスピーチであった。
伸一は、世界の平和のために、ただただ誠実に行動し抜いてきた。彼の話に、皆がその「心」を感じたのだ。「誠実」への共感に国境はない。「誠実」こそが、人間を結ぶ心の絆となるのである。伸一に続いて、北京大学側から丁重な謝辞があった。
図書贈呈式の後、伸一たちは、北京大学の図書館を視察した。贈呈した図書5千冊が、力学、数学、医学、工学、日本文学など、整然と分類して展示されていた。書物を大切にすることは、精神を大切にすることに通じよう。
図書館を視察したあと、日本語学科に学ぶ十数人の学生とテーブルを囲んで懇談した。彼は、学生たちの、日本人に対する、"心の壁"を取り除きたかった。中国は、日本軍との戦いで、多くの犠牲者を出した国である。その悲惨な歴史は、父や母などから、何度となく聞かされてきたにちがいない。それだけに、日本や日本人に対しては、当然、複雑な感情があるはずである。
日本人としては、過去の歴史を正しく認識し、詫びるべきは、真摯に詫びねばならない。そのうえで、触れ合いを通して、同じ人間として心を通わせ合い、信頼と友情の絆を結ぶことだ。歴史のなかでつくられてきた「わだかまり」や「誤解」という氷塊を溶かすものは、友誼への情熱であり、人間の心と心の触れ合いから生まれる温もりである。
ゆえに、民衆次元の交流が何よりも大切になるのである。夜には、北京大学の学生会主催による「歓迎の夕べが、大学の大講堂で開催された。大学をあげての「歓迎の夕べ」であった。
翌日は、北京大学の首脳と懇談した。そして、今後も密接な連携を取り合いながら、いつまでも、友誼を保ち続けていくことを確認し合った。
午後には、中日友好協会を訪問した。孫平化秘書長、林理事長らと意見を交換し合った。
12月4日の夜、伸一の一行は、人民大会堂で行われた、中日友好協会の廖承志会長による歓迎宴に出席した。日中の交流を本気になって推進する創価学会に対して、反中国的な勢力からは、激しい批判が浴びせられていた。しかし、伸一は、すべて覚悟のうえであった。
守るべきは、平和を願う人間としての信義である。日中両国人民の繁栄であり、幸福である。そのためには、何ものをも恐れず、揺るぎなき信念をもって、敢然と突き進んでいくつもりであることを、彼は表明しておきたかったのである。
太字は 『新・人間革命』第20巻より 抜粋