小説 新・人間革命に学ぶ

人生の 生きる 指針 「小説 新・人間革命」を 1巻から30巻まで、読了を目指し、指針を 残す

公明政治連盟

衆議院への進出を考える

『新・人間革命』第9巻 新時代の章 P53~

なかでも、公明政治連盟の問題については、彼が悩み抜いたテーマであった。師である戸田城聖は、よく「衆議院には進出しなくともよい」と語っていたからである。だが、将来については、「来るべき時が来たら、衆議院にも人を送る。」と言っていたことを、伸一は忘れなかった。

“では、戸田先生の言われた「来るべき時」とは、いつをいうのであろうか”伸一は考え悩んだ。
それは、まず、民衆の要望といえよう。今、その要望は、本当にあるのだろうか。保守も革新も、党利党略に走り、政治不信がつのるなかで、新しい政治家、政党を求める声が民衆の間に澎湃と起こっていることは事実である。

それらを思い合わせると、衆議院への進出の「時」は来ていると、考えざるを得なかった。しかし、創価学会の政治部員がそのまま公政連の議員というかたちで、衆議院に同志を送り出すことは、避けなければならないと思った。

仮に学会員のままで、衆議院に進出したとしても、それは本来、憲法で定める政教分離の原則に抵触するものではない。政教分離の原則は、もともと、戦時中の歴史をふまえ、国家権力から宗教を守るために、国家権力の非宗教性を制度として定めたものであるからだ。

だが、伸一は、宗教と政治とは次元を異にするがゆえに、学会と政治団体である公政連とは、一定の距離を置くべきであると、かねてから考えてきた。そして、協議の末に、学会の政治部を解消することにしたのである。

それでも、やがて公政連が、衆議院に進出することになれば、支援団体である創価学会は、既成政党の激しい攻撃の的になるであろうことは、覚悟しなければならなかった。また、諸外国の政府は、学会を政治的な団体とみて、警戒を強めるであろうことも予測された。伸一の苦悩は、限りなく深かった。

政党をつくり、衆議院に進出するならば、それにともなう危険は、あまりにも大きい。場合によっては、衆議院に進出すれば、政治上の問題から、学会が攪乱されないとも限らない。それでも、大聖人の仏法を社会に開くためにあえて突き進まざるをえないであろうというのが、伸一の結論であった。

伸一は、「本門の時代」とは、学会としても、また会員個人としても、仏法を根本に、本格的な人間文化を開花させ、社会に貢献していく時代であるととらえていた。

だが、世間はその趣旨を理解しようとはしなかった。
すべてに裏があるかのように考え、崇高なものを卑小化してとらえる日本の風土は、精神の貧困さの反映といえまいか。その誤った認識を打ち砕くには、それぞれの分野にあって、着実に実績を積み上げていく以外にない。

それは、長く、遠い道程であろうが、真実は 必ず勝つものだ。

11日に日大講堂で行われた男子部幹部会の席上、山本伸一は、正式に、公政連を政党とし、「公明党」を結成することを提案。以後、本格的に公政連として結党にむけて準備が進められていくことになったのである。

「本門の時代」の開幕を待っていたかのように、会長山本伸一は、世界への新しき旅を開始した。
今回の訪問国は、オーストラリア、セイロン、インドの3か国であった。

伸一の海外訪問と並行して「オーストラリア」「インド・セイロン・シンガポール」「インドネシア・フィリピン」「タイ・カンボジア・ベトナム」「香港・沖縄」の5グループに分かれ、幹部が、派遣されることになっていた。本格的な交流の開幕であった。



太字は 『新・人間革命』第9巻より

創価学会は保守か革新か

『新・人間革命』第8巻 布陣の章 P18~

会長就任3周年の本部総会での山本伸一の講演となった。
伸一は、この席で、4月に行われた統一地方選挙の際に、一部の評論家やマスコミが盛んに取り上げた、”学会は保守か、革新か”という問題を明らかにしておきたかった。

「創価学会は、どれほど社会のために貢献しても、決して、ほめられることはなく、常に批判にさらされてまいりました。しかし、その批判の根拠は何かを見ていきますと、極めてあいまいなものにすぎません。」

「世間は、学会を保守か革新かに立て分けたいと思いながらも、確かな答えを出せないでいるのが実情のようです。そもそも、保守・革新という枠にあてはめ、物事をとらえようとする考え自体が、いかに革新を口にしようが、既に保守的な思考に凝り固まった行き詰まった姿であると、私は思うのであります。」

ついで伸一は、学会の根本的な立場について、言及していった。「経文には、『無量義とは一法より生ず』と仰せですが、南無妙法蓮華経を、御本尊を根本とし、日蓮大聖人の生命の大哲理を根底に、全世界の民衆を幸福にし、永遠の平和を築いていくのが、学会の精神であります。」

「したがって、保守の人であろうが、革新の人であろうが、三世のうえから、すべて平等に幸福の道を教えていくのが、私どもの使命といえます。」

「自由主義も社会主義も、保守も、革新も、ともに指導していく大哲理に生きるのが、わが創価学会です。」

伸一は、大事な会員が、学会を政治の次元でとらえようとする世間の論評に惑わされ、信仰の王道を見失っていくことを憂慮していたのである。
さらに、公明政治連盟の拡大につれ、学会を利用したり、便乗して、学会の組織をせんきょのために上手に操ろうとする人間が、出てくることを警戒していた。

「私どもは、どこまでも、信心第一に進んでまいりたいと思うのであります。」「人間の本当の輝きは、なんによって決まるか。」「日蓮大聖人の弟子として、仏の使いとして、不幸な人びとの味方となりゆくことです。そのわが使命に生き抜く時に、最高最大の歓喜と輝きの人生を歩むことができる。」

「この内なる生命の燃焼こそが、色褪せぬ人間性の輝きであり、三世を荘厳する光彩であります。ゆえに、生涯、流れる水のごとき信心を貫き、自身を成長させながら、また、一家の和楽を築きながら、尊き使命の大道を、誉の大道を、ともどもに前進していこうではありませんか」

今、会長就任三周年の、新しき旅立の号砲は鳴りわたった。決意を込めた拍手が、ドームに響きわたった。

山本会長が上着を脱ぎ、扇を手にして、すっくと立ち上がた。伸一は大空を舞う大鷲のように、悠々と、堂々と舞い始めた。

この日から、また再びの伸一の陣頭指揮が始まったのである。
彼は、自らの行動を通して、学会の真実の精神を、幹部の在り方を、皆に教えようとしていたのである。

太字は 『新・人間革命』第8巻より

公明政治連盟発足

『新・人間革命』第5巻 獅子の章 P300~

1月17日、通常国会の開会式終了後、創価学会の参議院議員が記者会見を行い、
『公明政治連盟』という支持団体を発足したことを発表した。

山本伸一が、「公明政治連盟」という政治団体結成に踏み切った最大の理由は、創価学会は、どこまでも宗教団体であり、その宗教団体が、直接、政治そのものに関与することは、将来的に見て、避けた方がよいという判断からであった。いわば、学会として自主的に組織のうえで宗教と政治の分離を図っていこうとしていたのである。

本来、宗教団体が候補者を立てることも、政治に関与することも、憲法で保障された自由であり、権利である。

したがって、創価学会が政界に同志を送り出すことも、学会自体が政治活動を行うことも自由である。

戸田城聖は、それぞれ好きな政党に所属し、活動すればよいとしていた。しかし、議員たちは、実際に議員活動を開始してみると、どの政党の在り方にも、心から賛同することはできなかった。

寄り合い所帯の無所属クラブでは、それぞれの考え方も異なり、具体的な見解を発表する段になると、意見の調整は、しばしば難航せざるをえなかった。

やはり、政治の世界にあっては、政治団体等いう立脚点が必要であると、学会員の参議院議員たちは痛感していった。

伸一も 新たに政治団体をつくるということについては、賛成だったが、議員たちに厳しい口調で言った。「勘違いしてもらっては困るのは、この政治団体は、学会のためのものではない。私は、そんな小さな考えではなく、広く国民の幸福を願い、民衆に奉仕していく、慈悲の精神に貫かれた新たな政治団体をつくろうとしているんです。」

「私の願いは、政治団体がスタートしたならば、一日も早く自立し、民衆の大きな信頼と支持を得るものにしていってほしいということです。」


衆議院への出馬や、政党をつくることに関しては、まだ早いといって
「当面は、まず、参議院の問題から取り組んでいこう。」

「参議院は、衆議院の行き過ぎを是正し、補うべきは補うという機能が働かなくなってしまった。議員が自分の所属している党の党利党略によって動いているからだ。」 

「参議院を、本来の、“良識の府”にしていくことが、政治を国民の手に取り戻すうえで、差し迫った課題ではないかと思う。」と意見を述べた。

「立正安国」の精神の反映ということでは、日本の政治の現状から見て、避けて通ることのできない課題であるかもしれない。

しかし、政党をつくり、衆議院にも人を送ることになれば、少なくとも支援団体としての学会の負担は大きくなる。また、それによって、学会までも政争に巻き込まれ、既存の政党から、さらに激しい攻撃にさらされるであろうことは目に見えていた。


衆議院への進出は、伸一の一存で決まる問題ではないが、その選択をしなければならぬ時が、次第に迫りつつあることを、彼は痛感せざるをえなかった。

政治団体の名称については、戸田城聖が、将来会派をつくる時には“公明会”にしようと言っていたと話す関久男。その理由として、「学会の選挙運動は金もかけず、買収などとは無縁の公明選挙であるし、宴会政治のような腐敗した政界を正すのが君たちの使命であるからだ」と話していたと語る。


「政治の善し悪しは、ただ政治家だけによって決まるものではない。政治家を支援し、投票する人びとの意識、要望が、政治家を動かし、政治を決定づける大きな要因となっていくものである。ゆえに、政治の本当の改革は、民衆の良識と意識の向上を抜きにしてはありえない。学会は、その民衆を目覚めさせ、聡明にし、社会の行く手を見すえる眼を開かせてきたのである。」

「議員というのは、住民のためにあそこまで泥まみれになって働いてくれるのかと、誰からも称賛されるような、模範を示していってほしいのです。民衆を守る獅子となれー それが私の願いであり、期待です。また、皆さんを支援してきた同志も同じ思いでいるでしょう。」
と伸一は、心情を語った。



太字は 『新・人間革命』第5巻より抜粋
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