『新・人間革命』第7巻 萌芽の章 P148~
どうすれば、一人ひとりが最高に力を出せるのかを、常に考えていくことが幹部の責任である。
皆の心を知り、緊張があれば、解きほぐし、不安があれば安心させ、自身と希望と勇気と活力を与えていってこそ、本当のリーダーといえよう。
翌日夜には アメリカの西部総会に出席した。初のアメリカ西部総会の開会が宣言され、体験発表が始まった。
人生の波浪を乗り越えた体験は、人間の凱歌の証である。それは、広宣流布の確かなる軌道を進みゆく人の、頭上に輝く栄冠といえる。ゆえに、常に広布の大道をわが行路と定め、一つ一つの活動に、宿命の転換をかけ、全力で挑戦していくことだ。
登壇したのは、マサコ・クラークという、夫の仕事の関係でシアトルに転居してきた女性であった。
彼女の夫のハリーはアメリカ軍の将校であったが、原爆の開発実験の折に、灰を浴びて、そのため体も弱く、医師からは子供を作ることもむずかしいと言われていたのである。
彼女は、宿命の転換を決意して、懸命に布教に励んだ。それから間もなく彼女は妊娠した。子供の誕生を契機に、夫のハリーも、信心を始めるようになった。
やがて、彼女は二人目の子供も身籠った。ハリーも仏法の計り知れない力を実感いていた。男の子が誕生した日、ハリーは再び胃潰瘍で倒れてしまったのである。妻と同じ病院に入院し、何日か昏睡状態が続いたが、意識が戻ると、彼は妻と一緒に勤行をしたいと言い出した。
夫妻は病室で勤行し、唱題した。そして、ハリーは安らかに息を引き取ったのである。
最愛の夫を亡くした悲しみに途方にくれたマサコだったが、経済的に困ることはなかった。
「愛する夫に先立たれ、アメリカの地で子供をかかえて生きることは、これまでの私なら、とうてい、できなかったと思います。しかし、私には御本尊様があり、たくさんの同志がおります」
「夫は私に、二人の子供を残してくれました。私には母として、この子供たちを広宣流布の人材に育て上げる責任があります。そして、何よりも私には、シアトルの広布を、アメリカの広布を、成し遂げていく使命があります。その尊き使命を果たしゆくために、強く、強く生き抜き、幸福の女王の実証を示してまいる決意です。本日は、大変ありがとうございました。」
使命に燃える心には、黄金の光彩がある。それは、勇気と希望の光源となり、いかなる苦しみ、悲しみの闇をも、絢爛たる光の世界へと変えていく。マサコ・クラークの体験と決意は、強く参加者の胸を打った。
伸一は マサコに「すばらしい体験発表だった。感動しました。」と言って学会の最高幹部の金のバッジを渡して「今度、生まれた男の差し上げましょう。・・・頑張るんですよ。何があっても負けてはいけない」と最後の最後まで、同志の激励に全力を傾けた。
今日という日は二度と来ない。その時を逃せば、皆の飛躍のチャンスを逸してしまうからだ。
13日朝、一行はロサンゼルスを発ち、夕刻にニューヨークに着いた。
太字は 『新・人間革命』第7巻より
どうすれば、一人ひとりが最高に力を出せるのかを、常に考えていくことが幹部の責任である。
皆の心を知り、緊張があれば、解きほぐし、不安があれば安心させ、自身と希望と勇気と活力を与えていってこそ、本当のリーダーといえよう。
翌日夜には アメリカの西部総会に出席した。初のアメリカ西部総会の開会が宣言され、体験発表が始まった。
人生の波浪を乗り越えた体験は、人間の凱歌の証である。それは、広宣流布の確かなる軌道を進みゆく人の、頭上に輝く栄冠といえる。ゆえに、常に広布の大道をわが行路と定め、一つ一つの活動に、宿命の転換をかけ、全力で挑戦していくことだ。
登壇したのは、マサコ・クラークという、夫の仕事の関係でシアトルに転居してきた女性であった。
彼女の夫のハリーはアメリカ軍の将校であったが、原爆の開発実験の折に、灰を浴びて、そのため体も弱く、医師からは子供を作ることもむずかしいと言われていたのである。
彼女は、宿命の転換を決意して、懸命に布教に励んだ。それから間もなく彼女は妊娠した。子供の誕生を契機に、夫のハリーも、信心を始めるようになった。
やがて、彼女は二人目の子供も身籠った。ハリーも仏法の計り知れない力を実感いていた。男の子が誕生した日、ハリーは再び胃潰瘍で倒れてしまったのである。妻と同じ病院に入院し、何日か昏睡状態が続いたが、意識が戻ると、彼は妻と一緒に勤行をしたいと言い出した。
夫妻は病室で勤行し、唱題した。そして、ハリーは安らかに息を引き取ったのである。
最愛の夫を亡くした悲しみに途方にくれたマサコだったが、経済的に困ることはなかった。
「愛する夫に先立たれ、アメリカの地で子供をかかえて生きることは、これまでの私なら、とうてい、できなかったと思います。しかし、私には御本尊様があり、たくさんの同志がおります」
「夫は私に、二人の子供を残してくれました。私には母として、この子供たちを広宣流布の人材に育て上げる責任があります。そして、何よりも私には、シアトルの広布を、アメリカの広布を、成し遂げていく使命があります。その尊き使命を果たしゆくために、強く、強く生き抜き、幸福の女王の実証を示してまいる決意です。本日は、大変ありがとうございました。」
使命に燃える心には、黄金の光彩がある。それは、勇気と希望の光源となり、いかなる苦しみ、悲しみの闇をも、絢爛たる光の世界へと変えていく。マサコ・クラークの体験と決意は、強く参加者の胸を打った。
伸一は マサコに「すばらしい体験発表だった。感動しました。」と言って学会の最高幹部の金のバッジを渡して「今度、生まれた男の差し上げましょう。・・・頑張るんですよ。何があっても負けてはいけない」と最後の最後まで、同志の激励に全力を傾けた。
今日という日は二度と来ない。その時を逃せば、皆の飛躍のチャンスを逸してしまうからだ。
13日朝、一行はロサンゼルスを発ち、夕刻にニューヨークに着いた。
太字は 『新・人間革命』第7巻より