小説 新・人間革命に学ぶ

人生の 生きる 指針 「小説 新・人間革命」を 1巻から30巻まで、読了を目指し、指針を 残す

事故を未然に防ぐ

小事が大事

『新・人間革命』第12巻 新緑の章 P~53

「事故を起こしてしまえば、すべては水の泡になってしまう。自分も家族も、苦しむし、学会にも迷惑をかけることになる。私は、大切な同志を、事故で怪我をさせたり、亡くすようなことは絶対にさせたくない・・・」

川崎は、伸一のアドバイスを守ろうと心に決めた。そして事実彼はそう努力してきた。

だが、たまたま睡眠不足が続き、疲労がたまっていたこともあり、"今日は仕方がない。題目を唱えながら、慎重に運転しよう"そして、疲労がたまったまま、長時間の運転をしたのである。

何事によらず、原則を踏み外して、"信心をしているから守られるはずだ""題目を唱えているから"大丈夫だろう"などと考えることは、全くの誤りである。これほど危険な考えはない。それ自体が、魔に侵された思考といってよい。

御聖訓には「小事つもりて大事となる」と説かれている。大きな事故といっても、その原因を形成している一つ一つの事柄は、一見ささいに思えることである。

だが、その小さなミスや小さな手抜きが、魔のつけ込む隙を与え、取り返しのつかない大事故を生むのだ。ゆえに、小事が大事なのである。

川崎夫妻の事故も、わずかな心の隙をついて起こったといってよい。

川崎は、フランスが誇る研究・教育機関コレージュ・ド・フランスの研究員をしていたが、前年に退職していたが、共同研究をしていたアメリカの教授が一緒に研究を続けようとアメリカに誘われていた。
川崎は、ヨーロッパ広布に生き抜こうと決めたが、研究生活が忘れられず、中途半端な思いを引きづって活動していたのだった。

その迷いが、自身の広布の使命を果たすうえで、完全燃焼を妨げていたのだ。信心をして小さな功徳を受けるのはたやすい。しかし、宿命の転換という大功徳を受けることは容易ではない。

宿命を形成してきた自身の心、性格を見つめ、生命を磨き、人間革命せずしては、宿命の転換はないからだ。

そして、それには、自身の広布の使命を果たし抜いていくことだ。決定した信心に立って唱題に励み、障魔と戦い、悪を打ち砕いていくことだ。

川崎は、厳しくいえば、徹して広布に走り抜くことができずにいたといってよい。彼の微妙な一念の揺らぎが、生命の大きな飛翔を妨げ、宿命という大障壁を、完全に飛び越えるにはいたらなかったのである。

川崎夫妻は、この事故を契機に、フランスの、そして、ヨーロッパの広宣流布のために、人生を捧げようと、心の底から決意した。

伸一は、日本に訪れた夫妻にあえて厳しく語った。「広宣流布のリーダーには、同志を幸福にする責任がある。そして、広布の重責を担えば担うほど、御書の仰せの通り、魔も盛んに競い起こるようになる。だが、決して、魔につけ入る隙を与えたり、負けるようなことがあってはならない。最高幹部としての責任が果たせなくなれば、みんなを苦しめることになるからです。」

伸一の言葉は、二人の胸に、鋭く突き刺さっていった。

伸一は、5月20日 パリ会館の入仏式に出席した。地元フランスをはじめ、ヨーロッパ各国から150人のメンバーが喜々として集って来た。

伸一は、訴えた。「ヨーロッパも、10年後、20年後には、必ず大発展することは間違いありません。だが、それには、互いに人を頼るのではなく、皆が一人立たなければならない。"私がいる限り、たとえ自分一人になっても、絶対に広宣流布をしてみせる。必ず勝つ!"と獅子となって戦い続ける人が何人いるかです。その一人の発心、一人の勝利が積み重なってこそ、大勝利がある。」

「"時代を開く""歴史を創る"といっても、特別なことではない。一人ひとりが自分の決めた課題に挑み、今日を勝ち抜くことです。今、何をするかです。」


太字は 『新・人間革命』第12巻より 抜粋

事故を未然に防ぐために

『新・人間革命』第12巻 新緑の章 P~42

「もう一つ忘れてならないのは、青年時代は結婚をはじめ、さまざまな悩みをかかえているということです。青年の悩み事をよく聞き、きちんと相談にのって、激励していく必要がある。そして、悩みを信心のバネにしていくように励ますことが大事だ。たとえば、職場の人間関係で悩んでいる青年がいたら、その解決を願って、広布の活動に励むよう指導する。」

「広宣流布の大願への前進が公転だとしたら、各人の悩みの解決や願いの成就は自転といえる。この自転と公転が相まっていくなかに、幸福の軌道が開かれる」

ニューヨーク会館では、集った参加者に深々と頭を下げ、感謝の気持ちを伝える伸一。その姿を見て泣く、何人かの日系人女性がいた。彼女たちは、広布草創の開拓者たちであった。伸一の指導のままに、運転免許を取り、車でどこまでも布教に出かけていった。アメリカ人に仏法対話すると「ジャップ」と怒鳴られた人もいた。

しかし、彼女たちは、広宣流布という大偉業をなしとげようと、歯を食いしばって頑張ってきたのだ。その苦労を、すべて山本会長がわかってくれていたのだと思うと、嬉しさが込み上げ、涙があふれてくるのだ。悲しみに耐え抜いてきた人ほど、人の心の温かさが、よく胸に染み入るのであろう。

ともあれ、学会活動で苦労した分だけ、自分自身の生命を磨き、宿命を転換し、福運を積み幸せになることができる。ゆえに、学会活動は断じて守り抜かねばならない。自身の人間としての権利なのである。

参加者のなかで、7年前にトロントの空港にただ一人出迎えてくれた泉谷照子は、当時、未入会であったが、アレルギー性の疾患を 題目を唱えることで克服したことから、入会した。日本に一時帰国した時、山本会長から、「カナダの広宣流布をよろしくお願いします」と激励され、その時から、広布の大使命に立ち上がったのだ。

7年前に植えた励ましの種子が、今、見事に結実したのだ。種を蒔かなければ、芽は出ない。ゆえに、未来のために、今日も対話の種子を蒔くのだ。今の行動の中にのみ、明日の実りがある。

伸一は、5月19日、次の訪問地フランスのパリに向かった。空港に川崎鋭治と長谷部彰太郎が出迎えた。川崎夫妻は、1年前、交通事故を起こし、重傷を負い、半年以上入院していたのだ。

夫妻は、メンバーの激励に300キロ離れたポワティエへ向かい、夜遅く、帰途についたが、一瞬の睡魔に襲われ、道路脇の大木に激突。大腿骨骨折、膝の皿も砕け、助手席にいた妻の良枝は、大腿骨と脛の骨が複雑骨折するという大怪我であった。

事故には必ず予兆があるものだ。川崎は、以前、雨のなかハンドルを切り損ね、大きな石に乗り上げ車が転倒する事故を起こしていた。怪我はなかったが、車は廃車せざるをえなかった。

この直後、伸一は、こう指導した「これは、さらに大きな自己の前兆と受け止めるべきです。リーダーというのは、神経を研ぎ澄まし、一つの事故を戒めとして、敏感に対処してかなくてはならない。これからは、もう交通事故など、二度と起こすものかと決めて、真剣に唱題し、徹して安全運転のための原則を守り抜くことです。だから、常にベストコンディションで運転できるように、工夫しなければならない。」

「幹部は、自分だけでなく、会合が終わったあとなどに、無事故と安全運転を呼びかけていくことも大事です。その一言が注意を喚起し、事故を未然に防ぐ力になる」日蓮大聖人は、門下の四条金吾に「さきざきよりも百千万億倍・御用心あるべし」と仰せである。
そして、具体的な注意もしていた。

伸一も具体的に、「今度は、大型で頑丈なものにするんだよ」などとアドバイスしていたのだ。


太字は 『新・人間革命』第12巻より 抜粋

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