『新・人間革命』第25巻 福光の章 60p~
同じ炭鉱で働く同志のことを心配してのことだとの伸一の心をくみ、緒戦を大勝利で飾って迎えようとの、島寺地区部長の呼びかけに全参加者から、元気な声がはね返ってきた。
戦いの勝敗を決する大きな要因は、指導者の一念、行動にある。断じて勝つという、燃え盛るリーダーの闘魂が全軍に波及し、皆を勇猛果敢な闘士にしていくのだ。
しかし、7月2日、室長が行かれなくなったとの連絡が入る。参議院大阪地方区の補欠選挙で、違反者が出てしまい、小西理事長が逮捕され、山本室長が責任者として逮捕されるかもしれないとのことだった。田岡治子が大阪へ向かう室長に会って何か伝言をと言った時、「『夜明けが来た、と伝えてください』とおっしゃっていました。」との電話が入る。
さらに、7月3日夜遅く、田岡治子から、憤怒がほとばしる電話が入る。「山本室長は、大阪府警に出頭し、そのまま逮捕されました。何も悪いことなどしていないのに、無実の罪で不当に逮捕されたんですよ。いよいよ権力の魔性が牙をむいたんです。室長は、『夜明けが来た』と言われましたが、その意味を私は考えてみました。
創価学会という、民衆の力を結集した新しい団体が、社会的に、大きな力をもってきたから、今のうちに、それを躍起になってつぶそうとしたのが、今回の夕張炭労事件であり、室長の不当逮捕であるから、この弾圧をはね返し、学会が不屈の力を発揮していくならば、民衆の新しい時代が訪れる。それで、室長は『夜明けが来た』と、私たちに伝言してくださったと思うんですよ」
田岡は、叫ぶように言った。「島寺さん、何があっても、なんとしても"一班10闘争"を大勝利しましょう。これは、支部長代理の山本室長が熟慮の末に提案された戦いなんですから、この闘争に勝つことが、山本室長との共戦であり、"夜明け"を開くことになると思うんですよ」一人の婦人の懸命な訴えに、闘将の心は烈火となった。必死の一念から発する言葉が、生命を射貫くのである。
翌朝、同志に、山本伸一が不当逮捕されたことを発表したのである。誰もが驚きを隠せなかった。"なんで、あの山本室長が逮捕されなければならないのだ…"というのが、皆の疑問であった。
「私は、山本室長と共に、大阪の支援に行きました。その時に、口が酸っぱくなるほど、『無事故であることが大事です。違反行為など、絶対にしてはならない』と言われ続けていた。その室長が、違反行為を指示するわけがないではありませんか!」誰もが、"そうだ!"と思った。誰もが、正義感の強い伸一の人柄を、よく知っていたからである。
「戸田先生が言われた、その大難が遂に競い起こったんです。しかし、今、大阪府警に乗り込んで行った所で、混乱をきたすだけです。私たちは、権力の魔性に対して"学会は弾圧なんかに負けないぞ!民衆の力をなめるな!"というものを、見せつけてやらねばならない。それにはこの試練のなかで、大拡大の実証を示すことです、まず、この闘争を大勝利するんです。今こそ、"まことの時"が来たのだと腹を決めて、強盛の大信力をいだして、大折伏を敢行しようではありませんか!」
闘魂の雄叫びは、皆の勇気を呼び覚まし、心を一つにする。島寺は、心で泣きながら、悔しさをバネに情熱を燃え上がらせ、福島の浜通りで、"一班10闘争"の指揮を執ったのである。
活動の目標が打ち出されても、幹部など一部のメンバーだけが活動に取り組んでいるのでは、人材も育たなければ、広宣流布の本当の広がりもない。全会員が、共に責任を分かちもち、主体者となって、活動の大舞台に躍り出てこそ、新しい活力にあふれた、新しい前進があるのだ。
皆が地涌の菩薩である。皆が尊き使命をもった如来である。その力が十全に発揮される流れを開いていくことこそ、広宣流布のリーダーの大切な要件といえよう。
1957年(昭和32年)6月、山本伸一は、北海道にいた。夕張での炭坑労働者組合問題に対処するためである。その最中伸一から"一班10闘争"の電報が届いたのだ。北海道での闘争が終わったら、帰りに浜通りの磐城に寄るとの伝言に、皆は喜びに沸き返った。同じ炭鉱で働く同志のことを心配してのことだとの伸一の心をくみ、緒戦を大勝利で飾って迎えようとの、島寺地区部長の呼びかけに全参加者から、元気な声がはね返ってきた。
戦いの勝敗を決する大きな要因は、指導者の一念、行動にある。断じて勝つという、燃え盛るリーダーの闘魂が全軍に波及し、皆を勇猛果敢な闘士にしていくのだ。
しかし、7月2日、室長が行かれなくなったとの連絡が入る。参議院大阪地方区の補欠選挙で、違反者が出てしまい、小西理事長が逮捕され、山本室長が責任者として逮捕されるかもしれないとのことだった。田岡治子が大阪へ向かう室長に会って何か伝言をと言った時、「『夜明けが来た、と伝えてください』とおっしゃっていました。」との電話が入る。
さらに、7月3日夜遅く、田岡治子から、憤怒がほとばしる電話が入る。「山本室長は、大阪府警に出頭し、そのまま逮捕されました。何も悪いことなどしていないのに、無実の罪で不当に逮捕されたんですよ。いよいよ権力の魔性が牙をむいたんです。室長は、『夜明けが来た』と言われましたが、その意味を私は考えてみました。
創価学会という、民衆の力を結集した新しい団体が、社会的に、大きな力をもってきたから、今のうちに、それを躍起になってつぶそうとしたのが、今回の夕張炭労事件であり、室長の不当逮捕であるから、この弾圧をはね返し、学会が不屈の力を発揮していくならば、民衆の新しい時代が訪れる。それで、室長は『夜明けが来た』と、私たちに伝言してくださったと思うんですよ」
田岡は、叫ぶように言った。「島寺さん、何があっても、なんとしても"一班10闘争"を大勝利しましょう。これは、支部長代理の山本室長が熟慮の末に提案された戦いなんですから、この闘争に勝つことが、山本室長との共戦であり、"夜明け"を開くことになると思うんですよ」一人の婦人の懸命な訴えに、闘将の心は烈火となった。必死の一念から発する言葉が、生命を射貫くのである。
翌朝、同志に、山本伸一が不当逮捕されたことを発表したのである。誰もが驚きを隠せなかった。"なんで、あの山本室長が逮捕されなければならないのだ…"というのが、皆の疑問であった。
「私は、山本室長と共に、大阪の支援に行きました。その時に、口が酸っぱくなるほど、『無事故であることが大事です。違反行為など、絶対にしてはならない』と言われ続けていた。その室長が、違反行為を指示するわけがないではありませんか!」誰もが、"そうだ!"と思った。誰もが、正義感の強い伸一の人柄を、よく知っていたからである。
「戸田先生が言われた、その大難が遂に競い起こったんです。しかし、今、大阪府警に乗り込んで行った所で、混乱をきたすだけです。私たちは、権力の魔性に対して"学会は弾圧なんかに負けないぞ!民衆の力をなめるな!"というものを、見せつけてやらねばならない。それにはこの試練のなかで、大拡大の実証を示すことです、まず、この闘争を大勝利するんです。今こそ、"まことの時"が来たのだと腹を決めて、強盛の大信力をいだして、大折伏を敢行しようではありませんか!」
闘魂の雄叫びは、皆の勇気を呼び覚まし、心を一つにする。島寺は、心で泣きながら、悔しさをバネに情熱を燃え上がらせ、福島の浜通りで、"一班10闘争"の指揮を執ったのである。