『新・人間革命』第9巻 鳳雛の章 P119~

高等部は、本来、高校生の手によって運営していくことをめざしていた。活動の主体者は、あくまでも高校生であり、その活動をバックアップしていくのが担当幹部である。それが、伸一の考え方でもあった。

来年からは高等部の夏期講習会を実施し、伸一が御書講義をしたいと話すと、未来のための布石は大切だが、支部長、婦人部長、男女青年部の幹部への指導を、優先してほしいという幹部もいた。

伸一は苦笑しながら言った。「みんなは目先のことしか考えない。しかし、30年後、40年後の学会をどうするのか。その時、学会の中核になっているのが、今の高校生です。苗を植えなければ、木は育たない。大樹が必要な時になって、苗を植えても、手遅れだ。手を打つべき時を逃してはならない。そして、最も心を砕き、力を注がなくてはならないのは、苗を植えた時です。」

「枯れずに、ちゃんと根を張って伸びていけるのか、太陽の光が当たるのか、水や肥料は十分に行き渡っているのか、よく見ていく必要がある。これから、3、4年は、高等部に手をかけ過ぎるぐらいでなければ、広宣流布の未来は失敗します」

「私が、今やっていることの意味は、30年後、40年後に明確になります」

首都圏と関西での高等部員会の開催が聖教新聞に報じられると、全国各地に大きな波動が広がった。全国の高校生が「一日も早く、ぼくらの地域にも高等部の結成を」と祈り、その日を待った。

年が明けて、1965年1月15日「成人の日」に、高等部は、首都圏と関西を除く全国の27本部で発足の集いが開かれた。一方、中等部は、この日全国の34本部で結成をみたのである。

伸一は、青年部長の秋月に、「これまでに高等部員になった首都圏と関西のメンバーそれに、今日集ってくる全国のメンバーを、高等部の一期生としてはどうだろうか。中等部も、この日の結成式に参加したメンバーを1期生としては、どうかと思う。そうすれば、みんなの自覚が深まるからね」

さらに、中等部の指針として5つの目標を指針を示した。

中等部結成式には、小学校5年生になっていた、伸一の長男正弘も参加していた。
正弘は、中等部1期生になった喜びを 家に着くなり意気揚々と 母に語るのだった。

高・中等部1期生になった喜びをつづった手紙が何通も伸一のもとに届いた。伸一は高等部1期生のメンバーで決意の署名をしてはどうかと提案する。

秋月は、こんこんとわき出る、泉のごとき提案の数々に、驚嘆し、言葉を失ってしまった。秋月は伸一に尋ねた。
「先生の次々と打たれる手には、今更ながら驚き、感服するのみです。そうしたお考えは、どうすればでてくるのでしょうか」

「すべては真剣さだよ。私は、21世紀のことを真剣に考えている。その時に、誰が広宣流布を、世界の平和を、担っていくのか。誰が21世紀に、本当の学会の精神を伝えていくのか。それは、今の高等部、中等部のメンバーに頼むしかないじゃないか。だから、一人ひとりに、しっかりと成長していってもらうしかない。大人材、大指導者に育ってもらうしかない。」

「では、どうすればよいのか。何もしなければ、人は育たない。大切なのは触発だ。その触発をもたらすには、日々、命を削る思いで、成長を祈ることだ。そして、”どうすれば、みんなの励みになるのか”“どうすれば希望がもてるのか”“どうすれば、勇気が出せるのか”を瞬間瞬間、懸命に考え続けていくことだ。」

「強き祈りの一念が智慧となり、それが、さまざまな発想となる。責任感とは、その一念の強さのことだ」

秋月は、厳粛な思いで、伸一の指導を受けとめた。

太字は 『新・人間革命』第9巻より 抜粋