『新・人間革命』第9巻 光彩の章 P288~
「20世紀は、『戦争と革命の世紀』といわれているが、同時に、人間革命の開幕の世紀となるだろう。いや、むしろ、人間革命の開幕の世紀ゆえに、20世紀は、人類史上、最も輝かしい、生命の光彩の世紀への序曲として記録されることになると、私は確信している。」
話は、雄大な広がりを見せ、希望の光が差していくかのようであった。
伸一は、ドイツの青年たちをパリに招いていた。ドイツの青年たちのことを考え、カレーライスをつくってくれるように、頼んだ。
青年たちと懇談しながら、夫が未入会であり、そのなかで、西ドイツから来てからも懸命に学会活動に励んできたミツコ・ナカハタに家庭のことを心配し、家族への配慮をするように指導する。
婦人が学会活動に励むには、当然、家族の理解と協力が必要になる。理解を得るには、家庭を大切にすることである。家族の間にあって、信頼と尊敬を勝ち得ることだ。しかし、ともすれば、自分が信心に励み、学会活動をしているのは、一家の幸福のためなのだから、家のことは手を抜いても仕方がないと、考えてしまいがちである。それは、甘えであり、信心の利用といってよい。
パリの指導会に臨んだ伸一。フランスのメンバーのジャンヌの体験が感動を呼んだ。さらに、娘に仏法を勧めたジャンヌの母は、言った。「私はレジスタンス運動に加わりながら、"フランスが解放されれば、平和が訪れる。平和が訪れれば、私たちは幸せになれる"と信じてきました。」
「しかし、私は、娘の病に苦しんできましたし、娘を幸福にしてあげることもできませんでした。ところが、仏法に巡りあうことによって、長年、苦しみ続けてきた病に、娘が打ち勝ったのです。私の仕事である画廊の経営も、軌道に乗り始めました。」
「一人ひとりが、幸福になってこそ、本当の平和です。私はこの仏法を人びとに教え、悲願としてきた真実の平和のために、生きようと決意しています」
伸一は、ヨーロッパの組織の基盤が、着々と築かれつつあり、新しい人材が、陸続と育ってきたことが嬉しかった。
10月16日、伸一の一行は、パリを後にし、ノルウェーのオスロに向かって旅立った。その途中、ソ連のフルシチョフ首相が辞任したというニュースが流れた。その日には中国が、初の核実験を行ったと発表。イギリスでは、労働党が保守党を破り、政権に返り咲いたとのニュースも流れ、伸一は、世界の激動を肌で感じた。
オスロ空港では、橋本浩治が出迎えた。学会員と言っても、自分たち夫婦と、もう一人のメンバーしかいないところに、山本会長がわざわざ来てくれることに、申し訳なさを覚え、胸がいっぱいだった。
約束を果たしに来てくれた伸一に、感謝する橋本。伸一は、「感謝がある人は幸せであるというのが、多くの人びとを見てきた、私の結論でもあるんです。裏切っていく人間には、この感謝の心がないというのも真実だ。感謝がない人間は、人が自分のために、何かしてくれてあたりまえだと思っている。」
「すべては自分にある。自分が何をなすかだという、人間としての"自立の哲学"がないからなんだ。その哲学こそが、仏法なんだよ。」と感謝しなければならないのは、私の方だと話した。
ノルウェーからの帰途、飛行機の窓からオーロラが見えた。伸一は、思った。「宇宙は、こんなにも輝きに満ちている。小宇宙である人間もまた、本来、まばゆい光に満ちているはずである。その人間の光彩をめざして、人間のなかへ、生命のなかへ、私は励ましの旅を、断固として続けよう。人類の闇を開くために、輝ける人間の勝利の時代を開くためにーー。
「20世紀は、『戦争と革命の世紀』といわれているが、同時に、人間革命の開幕の世紀となるだろう。いや、むしろ、人間革命の開幕の世紀ゆえに、20世紀は、人類史上、最も輝かしい、生命の光彩の世紀への序曲として記録されることになると、私は確信している。」
話は、雄大な広がりを見せ、希望の光が差していくかのようであった。
伸一は、ドイツの青年たちをパリに招いていた。ドイツの青年たちのことを考え、カレーライスをつくってくれるように、頼んだ。
青年たちと懇談しながら、夫が未入会であり、そのなかで、西ドイツから来てからも懸命に学会活動に励んできたミツコ・ナカハタに家庭のことを心配し、家族への配慮をするように指導する。
婦人が学会活動に励むには、当然、家族の理解と協力が必要になる。理解を得るには、家庭を大切にすることである。家族の間にあって、信頼と尊敬を勝ち得ることだ。しかし、ともすれば、自分が信心に励み、学会活動をしているのは、一家の幸福のためなのだから、家のことは手を抜いても仕方がないと、考えてしまいがちである。それは、甘えであり、信心の利用といってよい。
パリの指導会に臨んだ伸一。フランスのメンバーのジャンヌの体験が感動を呼んだ。さらに、娘に仏法を勧めたジャンヌの母は、言った。「私はレジスタンス運動に加わりながら、"フランスが解放されれば、平和が訪れる。平和が訪れれば、私たちは幸せになれる"と信じてきました。」
「しかし、私は、娘の病に苦しんできましたし、娘を幸福にしてあげることもできませんでした。ところが、仏法に巡りあうことによって、長年、苦しみ続けてきた病に、娘が打ち勝ったのです。私の仕事である画廊の経営も、軌道に乗り始めました。」
「一人ひとりが、幸福になってこそ、本当の平和です。私はこの仏法を人びとに教え、悲願としてきた真実の平和のために、生きようと決意しています」
伸一は、ヨーロッパの組織の基盤が、着々と築かれつつあり、新しい人材が、陸続と育ってきたことが嬉しかった。
10月16日、伸一の一行は、パリを後にし、ノルウェーのオスロに向かって旅立った。その途中、ソ連のフルシチョフ首相が辞任したというニュースが流れた。その日には中国が、初の核実験を行ったと発表。イギリスでは、労働党が保守党を破り、政権に返り咲いたとのニュースも流れ、伸一は、世界の激動を肌で感じた。
オスロ空港では、橋本浩治が出迎えた。学会員と言っても、自分たち夫婦と、もう一人のメンバーしかいないところに、山本会長がわざわざ来てくれることに、申し訳なさを覚え、胸がいっぱいだった。
約束を果たしに来てくれた伸一に、感謝する橋本。伸一は、「感謝がある人は幸せであるというのが、多くの人びとを見てきた、私の結論でもあるんです。裏切っていく人間には、この感謝の心がないというのも真実だ。感謝がない人間は、人が自分のために、何かしてくれてあたりまえだと思っている。」
「すべては自分にある。自分が何をなすかだという、人間としての"自立の哲学"がないからなんだ。その哲学こそが、仏法なんだよ。」と感謝しなければならないのは、私の方だと話した。
ノルウェーからの帰途、飛行機の窓からオーロラが見えた。伸一は、思った。「宇宙は、こんなにも輝きに満ちている。小宇宙である人間もまた、本来、まばゆい光に満ちているはずである。その人間の光彩をめざして、人間のなかへ、生命のなかへ、私は励ましの旅を、断固として続けよう。人類の闇を開くために、輝ける人間の勝利の時代を開くためにーー。
<光彩の章 終了>
太字は 『新・人間革命』第9巻より 抜粋