『新・人間革命』 錦秋 P178

舞台は シアトル、シカゴ、そしてカナダへと
強行スケジュールの上に 連絡も ままならない状況での
初 海外指導である。



どんな状況であっても 山本伸一の頭の中で、
世界広布は 音をたてて 動き始めていた。


リンカーンパークでのこと。


遊びの仲間に入れてもらえない“黒人の少年”。
その少年を 理不尽にも 怒鳴りつける老紳士。


黒人の少年は 怒りと悲しみをたたえる燃えるような目で
老紳士をにらみ返す。


リンカーン大統領による奴隷解放宣言から100年が立とうとしている時に
その名を冠した公園で起きた出来事である。



伸一は その背後にある差別の暗い深淵を垣間見た思いにかられた。


ローザ・パークスの逮捕に端を発したキングの公民権運動。
理不尽な差別を撤廃するうえで、そうした運動は 必要であろう。



しかし、
それだけで、人々は 幸せを獲得できるのだろうか?


答えは 「ノー」と言わざるを得ない。


なぜなら、その根本的な要因は、人間の心に根差した
偏見や 蔑視にこそあるからだ。


この 差別意識の鉄鎖からの解放がない限り、差別は
形を変え、より陰湿な方法で繰り返されるに違いない。


問題は、この人間の心をいかに変えてゆくかである。
それには 万人の尊厳と平等をとく、日蓮大聖人の仏法の人間観を
一人一人の胸中に打ち立てることだ。


そして、他者の支配を正当化するエゴイズムを、
人類共通のヒューマニズムへと転じゆく生命の変革、
すなわち


人間革命による以外に 解決方法はない。 



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