『新・人間革命』 錦秋 P204
10月11日 シカゴから トロントへ 移動
飛行機の窓の下には、炎の海のような紅葉が広がっていた。
まさに錦秋である。
翌12日夜、英字新聞が 社会党の浅沼委員長が
17歳の右翼の青年に刺され死亡したとの記事が報じられていた。
この年には 新安保条約にまつわるテロ事件が相次いでいた。
6月17日には 二十歳の青年が 社会党顧問 河上議員をナイフで刺し、
傷を負わせる事件があり、7月14日には 岸首相が、65歳の男に 刺されると言う
事件が起きていた。
17歳の少年は 右翼団体の関係者と疑われたが、自衛官を父にもつ、
礼儀正しく、優しく純粋な青年であったという。
彼は ある日右翼が 青年決起を呼びかける主張に触れ、
熱を帯びた 単純明快な 訴えに 魂を激しく揺さぶられ、
右翼団体の活動家となっていく。
安保反対運動が 激化する中、右翼のリーダーたちが、
口では 打倒を 叫びながら 行動に移さないことが納得いかなかった。
そして、焦り、“自分が 殺すしかない”と直接行動を考えるようになった。
少年は 心の支えとして、尊王論を よく読み
直前には「生長の家」の谷口雅春の天皇への帰一の道は 忠であるという
「私なきが、『忠』なり」の言葉に、決断したもののようである。
暗殺事件から21日後 少年は 独房で首をつり命を絶った。
「少年は 自己の描く観念の理想の尺度に、現実を当てはめようとしたのではないか。
しかし、矛盾をはらみ、流動する生きた現実が、観念の尺度に合うことはない。
合わないとなれば、行きつく先は“焦り”か“諦め”である。」
「あの、“安保闘争”に情熱を注ぎ、一敗地にまみれた学生たちの多くは、既に
改革に背を向けていた。両者は 主義も主張も正反対ではあるが、
共通した何かを 伸一は感じた。
彼は 改革を夢見る純粋な魂が、希望を失い 無残に 散り果て、また、朽ちていく
無念さを 噛み締めていた。現実の社会の大地に、若き力が根を張り、枝を茂らせてこそ、
新しい時代の創造は 可能となるからである。」
残虐非道な犯行を憎み、また、テロの暗い泥沼に沈んでいった犯人の少年も
また、哀れでならない。
太字は 『新・人間革命』 1巻より抜粋
10月11日 シカゴから トロントへ 移動
飛行機の窓の下には、炎の海のような紅葉が広がっていた。
まさに錦秋である。
翌12日夜、英字新聞が 社会党の浅沼委員長が
17歳の右翼の青年に刺され死亡したとの記事が報じられていた。
この年には 新安保条約にまつわるテロ事件が相次いでいた。
6月17日には 二十歳の青年が 社会党顧問 河上議員をナイフで刺し、
傷を負わせる事件があり、7月14日には 岸首相が、65歳の男に 刺されると言う
事件が起きていた。
17歳の少年は 右翼団体の関係者と疑われたが、自衛官を父にもつ、
礼儀正しく、優しく純粋な青年であったという。
彼は ある日右翼が 青年決起を呼びかける主張に触れ、
熱を帯びた 単純明快な 訴えに 魂を激しく揺さぶられ、
右翼団体の活動家となっていく。
安保反対運動が 激化する中、右翼のリーダーたちが、
口では 打倒を 叫びながら 行動に移さないことが納得いかなかった。
そして、焦り、“自分が 殺すしかない”と直接行動を考えるようになった。
少年は 心の支えとして、尊王論を よく読み
直前には「生長の家」の谷口雅春の天皇への帰一の道は 忠であるという
「私なきが、『忠』なり」の言葉に、決断したもののようである。
暗殺事件から21日後 少年は 独房で首をつり命を絶った。
「少年は 自己の描く観念の理想の尺度に、現実を当てはめようとしたのではないか。
しかし、矛盾をはらみ、流動する生きた現実が、観念の尺度に合うことはない。
合わないとなれば、行きつく先は“焦り”か“諦め”である。」
「あの、“安保闘争”に情熱を注ぎ、一敗地にまみれた学生たちの多くは、既に
改革に背を向けていた。両者は 主義も主張も正反対ではあるが、
共通した何かを 伸一は感じた。
彼は 改革を夢見る純粋な魂が、希望を失い 無残に 散り果て、また、朽ちていく
無念さを 噛み締めていた。現実の社会の大地に、若き力が根を張り、枝を茂らせてこそ、
新しい時代の創造は 可能となるからである。」
残虐非道な犯行を憎み、また、テロの暗い泥沼に沈んでいった犯人の少年も
また、哀れでならない。
太字は 『新・人間革命』 1巻より抜粋
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ブログでは言えないこと
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