『新・人間革命』第26巻 法旗の章 120p~

伸一は、草創の12支部の代表からなるグループの結成を推進していったのである。彼は、草創期の活動を知るメンバーが、その精神と実践を後輩たちに示し、不撓不屈の創価の魂を伝え抜いていってほしかったのである。

伸一は、戸田の移動は、まことに峻厳であったことを語った。「いかに時代は変わろうが、正法正義を貫くことの厳しさは、永遠に変わりません。戸田先生の薫陶を受け、草創の時代を切り開いてこられた皆さんは、今こそ、私と共に、身をもって、その精神を、その実践を、多くの後輩たちに示し抜いていただきたい。

今、広布第二章の『支部制』がスタートしましたが、それは、これまでの総ブロック長や総ブロック委員が、草創の12支部の支部長、支部婦人部長の自覚に立ち、新しい創価学会の建設に着手するためです。それには、創価の開拓者たる皆さんが、後輩たちのために立ち上がることです。その意味からも、自身の信心の歩みを、絶対にとどめてはならない」

人材の育成とは、先輩が見事なる手本を示し、触発することにある。人は、めざすべき模範を見いだした時、大きな成長を遂げる。山本伸一は、『支部制』を軌道に乗せ、支部長・婦人部長のもと、全支部員が心を一つにし、活力あふれる前進ができるように、指導部の育成にも力を注いだ。

伸一は、「支部制」を支えていく最大のカギは、指導部にこそあると考えていたのだ。指導部の使命は、後の「多宝会」などにつながるといえよう。

「ライン組織の正役職者は、なすべき課題が山積し、多忙を極め、相当の活動量になっています。したがって体力も求められます。そのために、どうしても、若いリーダーが中心にならざるを得ない面があります。

しかし、あまりにも多忙であるがゆえに、ラインのリーダーによる激励、指導の手は、必ずしも全会員に十分に届いていない場合もあります。そこで、信心重厚にして経験豊富な、"広布の宝"ともいうべき指導部の皆さんが、会員一人ひとりに、こまやかな激励、指導の手を差し伸べていただきたいんです。

指導部の皆さんとライン組織のリーダーが異体同心の団結を図ってこそ、広宣流布の組織は盤石なものとなるのであります。伸一は、指導部の使命について、声を大にして訴えた。

「どうか、"広布の赤十字"となっていただきたい。悩める一人ひとり、病める人、信心への確信弱き人、疲れた人、我見や愚痴の人などと粘り強く対話し、一人も落とすまいと、信心の励ましの手を差し伸べてください。

皆さんの、長年の信仰体験と確信は、そのための最大の力なんです。指導部は、各組織、各地域にあって、広宣流布を支える"黄金の信心の柱"です。『あの人がいるから大丈夫だ。私たちの誇りである』と言われる、"同志の鑑"に、"安心の依処"になってください。

組織の役職と、信心の位とは、イコールではありません。懸命に活動し、正しい信心の指導をできる人が、信心の高位の人であり、御本尊の賞賛を受ける人です。また、地域にあっては"学会の全権大使"であるとの自覚で、信頼の輪を広げていってください」

伸一は、草創期を戦い抜いた功労の同志たちに、最後まで広宣流布の使命に生き抜き、見事な人生の総仕上げをするよう訴え続けてきた。大切なのは、最後の最後まで戦い続けることだ。この世の使命を果たし抜いていくことだ。

「総ブロック」から「支部」への移行は、支部長・婦人部長をはじめ、支部幹部の意識を大きく変え、自覚を変えた。組織を活性化させ、地域広布を推進する根本は、人間の一念の転換にこそある。そして、一切の状況、環境を転換することができる。それが依正不二の原理である。

山本伸一は、人類の平和を築くために、世界の指導者との語らいも続けた。1月12日、伸一は、アメリカのエドワード・M・ケネディ上院議員を聖教新聞社に迎え、会談した。彼は、ケネディ家の4男である。彼は、中国を訪問したあと日本に寄った。東京滞在は、二泊三日である。そのなかでの伸一との会談であった。エドワード・ケネディ上院議員と伸一は、これまで、何度か書簡を交わしてきた。




太字は 『新・人間革命』第26巻より 抜粋
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