『新・人間革命』第25巻 福光の章 33p~

「本気になって団結しようと思うならば、陰で同志を批判し合ったり、悪口を言ったりしては、絶対にならない。それが、魔の付け入る隙を与え、組織に亀裂を生み、仏法を破壊することになっていくからです。

当然、幹部同士で、意見の異なる場合もあるでしょう。その場合には、率直に本人に伝えることです。もちろん、言い方には、注意が必要です。感情的になったりしないように、配慮もしなければなりません。ただ、何があろうと、幹部同士が、陰で反発し合い、足を引っ張り合ったり、派閥をつくったりするようなことがあっては、決してならない」

陰で同志を批判し、悪口を言うことは、無自覚ではあっても、謗法となるのだ。同志を誹謗することは、広宣流布の魂の結合を破壊し、皆の心を攪乱させ、前進の活力を奪っていく。伸一は、この機会に、特色の異なる地域をかかえる福島県の幹部に、団結の在り方を、あらゆる角度から、徹底して訴えておこうと思った。

「幹部が本当に団結しようと決意しているならば、それは、具体的な行動、振る舞いとなって表れます。団結がある組織というのは、県でいえば、県幹部同士の連絡、報告が密です。さらに、互いの気遣いがあります。県長が一人で悪戦苦闘していたら、ほかの県幹部は、『何か、私にできることはありませんか』とすぐに言えるようでなければならない」

「その組織が、団結しているか、それとも、幹部の心がバラバラなのかは、会合をちょっと見ただけでもわかるものです。なるべく前の方に来て、すべて吸収しようという意気込みで、最も熱心に話を聴くべきです。学会歌を合唱する時には、力いっぱい歌い、拍手も真っ先に送るんです。そうすれば、ほかの参加者もそれに倣い、会合も盛り上がります」

「つまらなそうな顔で、後ろの方に座っていたらどうなるか。会合の雰囲気をこわし、皆のやる気を削いでしまう。つまり、本当に団結しようという一念であるかどうかは、何気ない振舞、言動のなかに表れるということなんです」

「人間ですから、"あの人は虫が好かない"ということもあるでしょう。しかし、広宣流布のために、どんな人とも仲良くやっていこうと努力するなかに、仏道修行があり、人間革命がある。真剣にお題目を唱え、自分の心を、大きく開いていくんです。自分の境涯が高ければ、人を包んでいくことができます」

一人のために、どこまでも足を運び、仏法を訴え、励まし抜いていくーーそれ以外に、広宣流布の前進はない。伸一は、県青年部長の奥津に言った。「県長、県婦人部長と呼吸を合わせ、青年の力で新しい福島県創価学会をつくるんだよ。」

「青年部は、学会の後継者です。後継者とは、学会を今以上に興隆、発展させていく使命を担っている人ということなんです。その使命を果たすために、青年部は、まず、信心の絶対の確信をつかんでほしい。それには体験を積むことです。"祈り、戦って、自分は、こう悩みを克服した""こう自分が変わった"という体験を幾つ持つかです」

「さらに、教学です。"なぜ、日蓮大聖人の仏法が最高だといえるのか""仏法の法理に照らししてどう生きるべきか"などを徹底して学んでいくことです。そして、師弟の絆を強め、良き同志との友情、連帯を強めていくことです」

「私は、牧口先生、戸田先生の殉教の精神と実践、その偉大な人格を知れば知るほど、仏法と学会への確信を深めることができました。また、先輩幹部をはじめ、さまざまな同志の体験を聞くことも、自身の確信となっていくでしょう。善知識である創価の麗しき人の輪は、確信の源泉でもあるんです。青年部、しっかり頼むよ。未来は、君たちの腕にあるんだからね」

伸一は、福島文化会館の中心会場となってきた、郡山会館の前も通ってもらった。いわば、陰の力の拠点となっている会館である。リーダーが、光の当たるところしか見ず、陰の人にスポットライトを当てようとしなければ、要領主義がまかり通るようになってしまう。人材を見つけだすには、表面より側面や裏面を、水面よりも水底を凝視する眼を開かねばならない。