小説 新・人間革命に学ぶ

人生の 生きる 指針 「小説 新・人間革命」を 1巻から30巻まで、読了を目指し、指針を 残す

October 2021

番外編8「勝利」「使命」「誓願」

『新・人間革命』に学ぶ 番外編8

「新・人間革命」につづられた名言をテーマごとに紹介

テーマ「勝利」
私たちは、なんのために戦うのか。自身の幸福のためである。何があっても挫けない、自分自身を築くためである。人間革命のためである。また、人びとの幸福のためである。社会の繁栄と平和のためである。
戦う限り、勝たねばならない。絶対に勝つと決めて、戦い抜くのだ。勝利のためには、何よりも己自身を制覇せねばならぬ。牙をむく獰猛な敵も、所詮は自分の心の陰にすぎない。
自身に勝つのだ!臆病に勝つのだ!諦めの心に勝つのだ!怠惰に勝つのだ!
自身に打ち勝ってこそ、大いなる「前進」があり、燦然と「勝利」の陽光は輝くのだ。
(第19巻「陽光」の章、P199~200)


テーマ「使命」
「人材として大成していくうえで、最も重要なことは、使命に目覚めることではないでしょうか。
私たちには、地涌の菩薩として、すべての人を幸福にし、世界の平和を築く、広宣流布という大使命があります。何よりも、その根本的な使命感に立つことが、自分の力を伸ばしていく最大の道であると感じています。(中略)自分の使命を知るならば、何ごとに対しても、生命の奥深くから、意欲が、情熱が力が湧いてきます」(中略)
戸田の声が響いた。「そうだ!そうなんだよ、伸一!第一に『使命の自覚』だ。これがないと、人生の根本目的が分からず、迷いが生じ、本当の力はでない。反対に、使命を自覚した時に、最大の力を発揮していけるものだ」
(第27巻「求道」の章、p372~373)


テーマ「地域」
広宣流布をいかに進めるかは、各地域によって異なってこよう。たとえば、人口過密な大都市と、過疎の山村や離島とでは、人びとの生活や人間関係等にも違いがある。その実情に即して、仏法理解の進め方、学会活動の在り方を、考えていかねばならない。(中略)
そこに暮らす人びとが、わが地域の広宣流布の責任をもつのだ。地域に応じて、活動の進め方は異なっても、広布を推進する根本原理に変わりはない。
第一に大切なことは、なんとしても、この地域を広宣流布していこうという「決意」である。(中略)
第二に、学会員が地域で「信頼」を勝ち得ていくことだ。信頼という土壌が耕されてこそ対話も実る。信頼は、人間関係の基である。第三には、各人が信仰の「実証」を示し切っていくことである。
(第28巻「広宣譜」の章、P88~89)


テーマ「誓願」
自身の宿命転換、人間革命、一生成仏のためには、“広宣流布に生き抜きます”という誓願の祈りが大事になります。そこに、わが生命を地涌の菩薩の大生命、大境涯へと転ずる回転軸があるからです。具体的にいえば、“あの人に、この人に、幸せになってほしい。仏法を教えたい”という必死な利他の祈りです。学会活動の目標達成を祈り、行動を起こしていくことです。それが、大功徳、大福運を積む直道です。したがって、自身の悩み、苦しみの克服や、種々の願いの成就を祈る時にも、“広宣流布のために、この問題を乗り越え、信心の見事な実証を示させてください。必ず、そうしていきます”と祈っていくんです。祈りの根本に、広宣流布への誓願があることが大事なんです。
(第28巻「大道」の章、P176~177)


テーマ「冥の照覧」
伸一は、「冥の照覧」を心から確信できる、一人ひとりになってほしかった。仏法では、「因果応報」を説いている。悪因には必ず苦果が、善因には必ず楽果が生じることをいう。しかも、その因果律は、過去世、現在世、未来世の、三世にわたって貫かれている。過去における自身の、身(身体)、口(言葉)、意(心)の行為が因となって、現在の果があり、未来の果をつくるのである。(中略)
すべては自分に還るのだ。悪果も善果も、一切は自分の行為のゆえである。(中略)
この生命の因果の理法、言い換えれば、「冥の照覧」を確信して、仏道修行に励むことこそ、仏法者の生き方の基本なのだ。(中略)
仏は、常に、じっと見ている。敢闘の歴史は、わが生命に刻まれ、栄光の朝を開く力となる。
(第24巻「厳護」の章、P144~146)


テーマ「感謝」
第二代会長の戸田先生は、よく、こう言われていました。「御本尊に常に感謝の念をもっている人は、いよいよ栄える。福運がいよいよまさる」「感謝を忘れた人は、福運が消えていく」“自分は信心で守られてきた。御本尊あればこそだ!との感謝の心から、喜びも、希望も、勇気も生まれます。また、感謝は、心を豊かにします。反対に不平や不満をいだいていれば、心を自ら貧しくしていきます。御本尊への感謝をもって、日々の学会活動に取り組んでいくなかに、自身の境涯革命があるんです」”(中略)
大事なことは、御本尊へのその御本尊を教えてくれた創価学会への感謝の念をもって、喜び勇んで広宣流布の“戦い”を起こしていこうという“心”である。“感謝”ある人には“歓喜がある。そして、燃え立つ歓喜の生命こそ、挑戦、前進、勝利、幸福の活力源となるのだ。
(第26巻「奮迅」の章、P367~368)

<番外編 終了>

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番外編7「師弟不二」「立正安国」「変毒為薬」

『新・人間革命』に学ぶ 番外編7

「新・人間革命」につづられた名言をテーマごとに紹介

テーマ「師弟不二」
師弟不二とは、師の心をわが心として生きることであり、いつ、いかなる時も、己心に厳として師匠がいることから始まる。いくら“師弟の道”を叫んでいても、自分の心に師匠がいなければ、もはや、仏法ではない。
師匠を、“自分の心の外にいる存在”ととらえれば、師の振る舞いも、指導も、自身の内面的な規範とはならない。そして、師匠が自分をどう見ているかという、師の“目”や“評価”が行動の基準となってしまう。そうなると、“師匠が厳しく言うから頑張るが、折あらば手を抜こう”という要領主義に堕していくことになりかねない。そこには、自己の信心の深化もなければ、人間革命もない。
己心に、師弟不二の大道を確立するなかにこそ、令法久住がある。
(第25巻「人材城」の章、P332)


テーマ「油断」
それまで、いかに頑張り抜いてきても、ちょっとした油断から、すべてが水の泡となった例は、枚挙にいとまがない。何事においても、最後の最後まで気を緩めることなく、日々、自らを厳しく戒め、挑戦し続けていく人こそが、真の勝利者となるのだ。
伸一は、厳しい口調で語り始めた。「失敗の原因は、いろいろあるだろうが、その本質は、慢心なんだ。(中略)“これまで失敗がないから、大丈夫なんだ”と高を括り、手抜きをするようになる。つまり、そこには、慢心が潜んでいるんだ」
(第12巻「愛郷」の章、P154)


テーマ「立正安国」
“安国”とは社会の繁栄であり、民衆の幸福、世界の平和であります。“立正”が宗教の次元であるのに対して、“安国”は社会の次元であります。
そして、“安国”の直接的に拠って立つ理念とは、『生命の尊厳』であり、『人間性の尊重』『平和主義』の原理であるといえます。これらは、人間の生存の本質から発するものであり、宗教、人種、民族、イデオロギーを超えて、人類が渇望する普遍の理念であります。その実現をめざすものが“人間主義”であり、ここが、すべての出発点であります。
(第14巻「大河」の章、P303)


テーマ「勇気」
「大聖人は、『軍いは大将軍を魂とす大将軍をくしぬれば歩兵臆病なり』と仰せであります。この7百万世帯は、皆さんが大将軍となって、勇気をもって戦い抜いた証であります。
大聖人も、また、牧口先生、戸田先生も、この壮挙を喜ばれ、諸手をあげて、ご賞賛くださることは間違いありません。
勇気は、希望を呼び、力を湧かせます。勇気こそ、自分の殻を破り、わが境涯を高めゆく原動力であります。
(第13巻「楽土」の章、P391~392)


テーマ「女性の力」
「明2001年から2050年へ、いよいよ、第二の『七つの鐘』がスタートします!」
「今、時代は、音を立てて変わっている。社会でも、団体でも、これからは女性を尊重し、女性を大切にしたところが栄えていく。大聖人は、『女子は門をひらく』と仰せです。広宣流布の永遠の前進にあって、『福徳の門』を開き、『希望の門』を開き、『常勝の門』を開くのは、女性です。なかんずく女子部です」麗しき婦女一体の対話の拡大、励ましの拡大は、21世紀の新たな力となった。
(第30巻下「誓願」の章、P430~431)


テーマ「変毒為薬」
すべては壊れても、生命に積んだ福運は、永遠に壊されることはありません。一遍でも題目を唱えたならば、成仏できるのが大聖人の仏法です。亡くなられた同志は、今世で宿命を転換し、来世も御本尊のもとに生まれ、幸せになれることは間違いありません。
また、『変毒為薬』とあるように、信心によって、毒を変じて薬にすることができる。大聖人は『大悪をこれば大善きたる』と仰せです。
今は、どんなに苦しくとも、必ず幸せになれることを確信してください。いや、必ずなってください。強い心で、強い生命で、見事に再起されるよう祈り待っています。
(第30巻下「誓願」の章、P393~394)



番外編6「人材育成」「心の財」「仕事」「健康」

『新・人間革命』に学ぶ 番外編6

「新・人間革命」につづられた名言をテーマごとに紹介

テーマ「皆に光を」
皆が広布の主役である。ゆえに、一人ひとりにスポットライトを当てるのだ。友の心を鼓舞する、励ましの対話を重ねていくのだ。(中略)
一人でいたのでは、信心の触発や同志の激励がないため、大成長を遂げることも、試練を乗り越えていくことも極めて難しい。私どもが、個人指導を最重要視して、対話による励ましの運動を続けているゆえんも、そこにあるんです。
(第27巻「正義」の章、P209~210)


テーマ「人間革命」
生命の内奥から込み上げてくる人間の感情や欲望は、道徳や規律、また制裁の強化など、制度の改革をもってしても、根本的に抑制することはできない。一切の根源をなす生命そのものの変革、心の変革こそが、個人の幸福を実現していくうえでも、世界の平和を築いていくうえでも、最重要のテーマとなる。(中略)
「わが心を磨き、生命の変革を可能にするのが御本尊の力です。仏法を自分の狭い見識の範囲内で推し量ってはならない。そして、御本尊の無限の力を引き出していく具体的な実践が唱題なんです」
(第29巻「清新」の章、P298~299)


テーマ「人材育成」
「よく、『何人、優れた人を生むかによって、その指導者の価値が決まる』と言われます。
仏子である私たちも、それぞれの立場で、後輩が自分より立派な指導者に育ち、活躍してくれることを祈り、それを望外の喜びとしていきたい。また、そこに、広宣流布のリーダーの生きがいがあります。どうか、後輩と共に動くなかで、信心の基本を、一つ一つ教えて伝えていってください。“共戦”こそが人材の育成になります」
(第26巻「奮迅」の章、P369~370)


テーマ「心の財」
「真実の幸福である絶対的幸福境涯を確立できるかどうかは、何によって決まるか。ーー経済力や社会的な地位によるのではない。学会における組織の役職のいかんでもない。ひとえに、地道な、信心の積み重ねによって、生命を耕し、人間革命を成し遂げてきたかどうかにかかっている。
(第25巻「共線」の章、P155~156)


テーマ「仕事」
「腰掛け的な気持ちや、“どうせ自分なんか取るに足らない存在なんだ”という思いがあれば、本当にいい仕事はできません。戸田先生は、よく『ただ月給をもらえばよいというのでは、月給泥棒だ。会社のために、自分はこう貢献したというものがあって、初めて、月給をもらう資格がある』と語っておられた。そして、『“信心は一人前、仕事は三人前”してこそ、本当の学会員だ』と厳しく指導されていた。
大聖人が『御みやづかいを法華経とおぼしめせ』と仰せのように、自分の仕事を信心と思い、仏道修行と思って挑戦していくことです。限界の壁を破り、不可能を可能にするという学会指導や活動の経験も、仕事に生かされなければ意味がありません」
(第24巻「灯台」の章、P295~296)


テーマ「健康」
「健康増進のためには、“健康になろう”“健康であろう”と決め、日々、朗々と唱題し、満々たる生命力を湧現させて、勇んで活動に励むんです。
そして、食事、睡眠、運動などに、留意していくことが、健康のためには必要不可欠です。当然、暴飲暴食や深夜の食事は、控えるべきですし、必要な睡眠を確保するとともに、熟睡できる工夫も大事です。
(第25巻「人材城」の章、P324~325)



番外編5「激励」「一念」「慈悲」

『新・人間革命』に学ぶ 番外編⑤

「新・人間革命」につづられた名言をテーマごとに紹介

テーマ「希望」
山本伸一は、1979年(昭和54年)の聖教新聞に、「希望の暁鐘」と題する一文を起稿した。
「御書にいわく『所謂南無妙法蓮華経は歓喜の中の大歓喜なり』と。またいわく『歓喜とは善悪共に歓喜なり』と。すなわち、苦しみや悲しみさえ、希望と喜びに変えゆくのが、仏法の偉大な功力なのであります。苦楽は所詮一如であり、むしろ苦難の中にこそ希望と歓喜を見いだしていける人が、厳たる人生の勝利者なのであります」
(第29巻「清新」の章、P235~236)


テーマ「スピード」
学会勝利の源泉はスピードにあった。たとえば、本部に会員の皆さんが報告に来られる。私は、伝言を託すなど、すぐになんらかの行動を起こしてきた。これがリーダーの鉄則です。この迅速な反応、行動がある限り、学会は発展していくし、君たちも、そうすることによって、成長することができる。それがなくなれば、みんなは不安になるし、やがて不満を感じるようになってしまうものです。(中略)いつも真っ先に立ち上がるのが青年部ではないか」(第5巻「勝利」の章、P261~262)


テーマ「激励」
「時には、共に涙し、共に御書を拝し、共に祈り、粘り強く激励の対話を重ね抜いてきました。そのなかで、多くの方々が信心で立ち上がり、苦悩を克服してきたんです。友を励ましてきた人は、苦悩を分かち合った分だけ、喜びも分かち合い、信心の確信も増し、大きな功徳を実感しています。

一方、励まされた人にとって、最も苦しかった時に、同苦して自分を激励・指導してくれた同志の存在は、無二の友であり、終生、大恩の人となっています。

人間にとって今生の最高最大の財産は、どれだけの人と苦労を共にして励まし、信心を奮い立たせてきたかという体験なんです。したがって、何人もの、いや、何十人、何百人もの人から、『私は、一緒に悩み、祈ってくれたあの人のことを、生涯、忘れない』『あの人がいたから、今の私の幸せがある』と言われる人になることです」(第27巻「求道」の章、P358)


テーマ「一念」
仏の『毎自作是念』は一切衆生の成仏にあります。仏は、すべての人びとを幸福にすることを、常に念じ、考えておられる。私どもも、奥底の一念に、常に何があるのか、何を思い、願い、祈っているのかが大事になるんです。そこに、自分の境涯が如実に現れます。御本仏・日蓮大聖人の久遠の弟子である私たちは、大聖人の大願である広宣流布を、全民衆の幸せを、わが一念とし、わが使命と定めようではありませんか。そして、日々、久遠の誓いに立ち返り、広布を願い、祈り、行動する一人ひとりであってください」(第26巻「法旗」の章、P113~114)


テーマ「慈悲」
伸一は、この「健康」「青春」「福運」「知性」「情熱」「信念」「勝利」の七項目を人間革命の指標として示したあと、さらに、これらを包括し、仏法者の規範として確立されなければならないものこそ、「慈悲」であると訴えた。伸一は、慈悲について戸田城聖の指導を通して論じ、「私たち凡夫の場合は、勇気をもって行動することが慈悲に変わるのである」と力説。そして、慈悲と勇気の実践である広宣流布に生き抜くことの大切さ、尊さを訴えたのである。(第19巻「陽光」の章、P231)


テーマ「創意工夫」
どんなに多忙でも、人を励まそうという強い一念があれば、さまざまな工夫が生まれる。伸一は、会合に出席しても、指導する時間があまりとれない時には、懸命に学会歌の指揮を執り、激励したこともあった。全精魂を注いで、皆と万歳を三唱して、励ましたこともある。
それは、“今を逃したら、もう、励ます機会はないかもしれない。最愛の同志を、あの人を、この人を、断じて励ますのだ!”という、伸一の一念の発露であった。
心という泉が、必死さ、懸命さに満たされていれば、創意工夫の清冽なる水は、ほとばしり続ける。
(第24巻「灯台」の章、P352)


あとがき2 新しい出発

『新・人間革命』第30巻(下) あとがき 444p

世界広布に邁進する学会にとって、飛躍の大転機となったのが、腐敗、堕落し、形骸化していった宗門から、「魂の独立」を勝ち取ったことである。

学会は、ただただ、大聖人の御遺命である広宣流布の推進のために、信徒を睥睨する僧らの非道な仕打ちに耐えながら、僧俗和合を願い、宗門に外護の赤誠を尽くしてきた。しかし、宗門は教条主義化し、衣の権威を振りかざして人類の遺産である文化・芸術を否定し、「謗法」と断じていった。

また、権力化した彼らは、法主を頂点とした僧による信徒支配、理不尽な僧俗の差別を進め、大聖人の御精神に違背し、仏法で説かれた「生命の尊厳」も「万人の平等」も、踏みにじっていったのである。

これでは、大聖人の仏法の根幹が歪められ、人類の幸福と世界の平和を実現する教えとは、ほど遠いものとなってしまう。学会は、「大聖人の御精神に還れ!」と宗教改革に立ち上がり、諫言した。すると、宗門は、仏意仏勅の広宣流布の団体である学会に、「解散」を勧告し、さらに、「破門」を通告してきたのである。

彼らが、その文書を送った1991年(平成3年)11月28日は、創価学会が宗門の鉄鎖から解き放たれた、「魂の独立」記念日となった。創価の前進を阻む暗雲は払われ、豁然と世界広布の大道が開かれたのだ。真実の世界宗教として、21世紀へ晴れやかに飛翔しゆく朝の到来となったのである。

小説『人間革命』も、『新・人間革命』も、その主題は、ともに「一人の人間における偉大な人間革命は、やがて一国の宿命をも転換をも成し遂げ、さらに全人類の宿命の転換をも可能にする」である。

では、「宿命の転換」は、いかにしてなされるのか。その方途を示したのが、戸田先生の「獄中の悟達」である。広布の聖業を果たす、その尊貴な菩薩である私たちが、なぜ、さまざまな苦しみの宿業をもって生れてきたのか。

法華経法師品には次のようにある。「是の人は自ら清浄の業報を捨てて、我滅度して後に於いて、衆生を愍れむが故に、悪世に生まれて、広く此の経を演ぶ」--善業を積んで善処に生まれるべき人が、仏の滅後に衆生を哀れんで、あえて、願って悪業をもって悪世に生まれ、法を弘めるというのである。妙楽大師は、この文を「願兼於業」と釈している。

まさに、この原理のままに、私たちは、苦悩する人びとを救うために、誓願して、病苦、経済苦、家庭不和、あるいは孤独や劣等感等々、さまざまな宿命をもって悪世末法に出現したのである。そして、「宿命」の嵐を敢然と勝ち越えることで、仏法の正義と偉大なる功力を証明し、広宣流布を進めていくことができるのである。いな、そのためにこそ、勇んで苦悩を担ってきたのだ。

つまり、「宿命」と「使命」とは表裏であり、「宿命」は、そのまま、その人固有の尊き「使命」となる。ならば、広布に生き抜く時、転換できぬ「宿命」など絶対にない。

その生命の変革作業を、私たちは「人間革命」と呼ぶ。社会も、国家も、世界も、それを建設する主体者は人間自身である。すべては人間の一念から生まれるものだ。したがって、「人間革命」なくしては、自身の幸福も、社会の繁栄も、世界の恒久平和もあり得ない。

この一点を欠けば、さまざまな努力も砂上の楼閣となる。仏法を根幹とした「人間革命」の哲学は、「第三の千年」のスタートを切った人類の新しき道標となろう。

小説『新・人間革命』の完結を新しい出発として、創価の同志が、「山本伸一」として立ち、友の幸福のために走り、間断なき不屈の行動をもって、自身の輝ける『人間革命』の歴史を綴られんことを心から念願している。

この世に「不幸」がある限り、広宣流布という人間勝利の大絵巻を、ますます勇壮に、絢爛と織りなしていかねばならない。ゆえに、われらの「広布誓願」の師弟旅はつづく。

すべての関係者、そして、全読者の皆様方に、心より御礼、感謝申し上げたい。 著者


2018年(平成30年)9月8日
小説『新・人間革命』新聞連載完結の日に
東京・信濃町の創価学会本部にて


<小説・新人間革命 全30巻 終了>

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太字は 『新・人間革命』第30巻より 抜粋
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