『新・人間革命』第30巻(下) 勝鬨の章 139p
伸一は、白菊講堂の自由勤行会で、懇談的に指導した。「日蓮大聖人の仏法は、いかなる世代にも必要不可欠です。飛行機が大空へ飛び立っていく姿は青年時代であり、安定飛行に入って悠々と天空を進む様子は壮年時代といえる。
その間には、乱気流に巻き込まれ、大きな揺れや衝撃を受けることもあるかもしれない。したがって、安全に飛行し、幸福という目的地に行くには、それに耐えうる十分な燃料と強いエンジン、すなわち大生命力が必要となり、その源泉こそが信心なんです。
人生という空路を飛んだ飛行機は、やがて着陸の時を迎える。飛行機は着陸が最も難しいともいわれている。いわば、人生でいえば、総仕上げの年代であり、まさに一生成仏への滑走路に入れるかどうかです。この総仕上げの時を、いかに生きて、わが人生を荘厳していくかが、最もだいじなんです。
どうか皆さんは、年はとっても、心は青年の気概で、広宣流布のため、人びとのために、完全燃焼の日々を送っていただきたい。生涯求道、生涯挑戦、生涯青年です」
伸一の一行が、熊本文化会館に到着したのは、午後6時前であった。休む間もなく県幹部らとの懇談会が待っていた。「広宣流布を進めていくうえで最優先すべきは、皆が呼吸を合わせていくことであるといっても過言ではない。活動を推進していくうえでは、協議が大事です。なかなか意見がまとまらないこともあるかもしれない。そうした時には、常に、“なんのためであるか”に立ち返ることです。
皆が、この目的観に立ち、心を一つにして呼吸を合わせてこそ、実りある協議もできるし、目的を成就していくこともできる。戸田先生は、言っておられた。『信心のうえで呼吸があわない人は、必ず落後していく』と。心すべきご指導です」
ここで伸一は、今回の宗門事件のなかで、学会の組織を攪乱するなどした幹部がいたことから、その共通性に言及していった。「これまで、私の側近であるとか、特別な弟子であるなどと吹聴し、皆に迷惑をかけた幹部が一部におりました。結局、私を利用して自分の虚像をつくり、同志をだます手段にしてきたんです。
信心のうえで特別なつながりなどというものはありません。強いて言えば、私の身近にいて、すべてを託してきたのは、十条前会長であり、秋月現会長です。したがって“自分は側近である。特別な関係にある”などと言う言葉に騙されないでいただきたい。そんな発言をすること自体、おかしな魂胆であると見破っていただきたい。どこまでも、会長を中心に力を合わせていくことが、広宣流布を推進していくうえでの団結の基本です。未来のためにも、あえて申し上げておきます」
14日、伸一は、福岡県にも足を延ばし、久留米会館、八女会館を初訪問した。引き続き、筑後市内の個人会館で、懇談会を開いた。伸一は、広宣流布の途上には、予期せぬ困難が待ち受けており、その時こそ、リーダーの存在が、振る舞いが重要になることを確認しておきたかった。
「リーダーには、次の要件が求められます。『信念と確信の強い人でなければならない』『誠実で魅力ある人でなければならない』『健康でなければならない』『常に生き生きと指揮を執り、リズム正しい生活であるように留意すべきである』『仕事で、職場で、光った存在でなければならない。社会での実証は、指導力の輝きとなっていくからである』『指導にあたっては、常に平等で、良識的でなくてはならない』以上を、心に刻んで進んでいただきたい」
夜、熊本会館では、城南地域や天草からバスを連ねて、自由勤行会に集ってきた。これらの地域では悪僧の奸計によって、学会を辞めて檀徒になった幹部もいたのだ。昨日まで、すべて学会のおかげだと言っていた人物が、坊主の手先となって、学会を口汚く罵り、会員に脱会をそそのかしていったのである。
同志は、はらわたが煮えくり返る思いで、日々を過ごしてきた。“寺の檀徒をつくりたいなら、自分たちで、折伏すればよいではないか!それもせずに、信心のよくわからぬ、気の弱い学会員を狙って脱会させ、寺につけようとする!卑怯者のすることじゃ!信仰者のすることではない!”
皆の憤怒は激しかったが僧俗和合のためにと、黙していた。理不尽な状況があまりにも長く続き、耐え忍ぶしかないと考えるまでになっていたのだ。歯ぎしりしながらも、ひたすら広布の前進と、正邪が明らかになることを願っての唱題が続いた。
太字は 『新・人間革命』第30巻より 抜粋
その間には、乱気流に巻き込まれ、大きな揺れや衝撃を受けることもあるかもしれない。したがって、安全に飛行し、幸福という目的地に行くには、それに耐えうる十分な燃料と強いエンジン、すなわち大生命力が必要となり、その源泉こそが信心なんです。
人生という空路を飛んだ飛行機は、やがて着陸の時を迎える。飛行機は着陸が最も難しいともいわれている。いわば、人生でいえば、総仕上げの年代であり、まさに一生成仏への滑走路に入れるかどうかです。この総仕上げの時を、いかに生きて、わが人生を荘厳していくかが、最もだいじなんです。
どうか皆さんは、年はとっても、心は青年の気概で、広宣流布のため、人びとのために、完全燃焼の日々を送っていただきたい。生涯求道、生涯挑戦、生涯青年です」
伸一の一行が、熊本文化会館に到着したのは、午後6時前であった。休む間もなく県幹部らとの懇談会が待っていた。「広宣流布を進めていくうえで最優先すべきは、皆が呼吸を合わせていくことであるといっても過言ではない。活動を推進していくうえでは、協議が大事です。なかなか意見がまとまらないこともあるかもしれない。そうした時には、常に、“なんのためであるか”に立ち返ることです。
皆が、この目的観に立ち、心を一つにして呼吸を合わせてこそ、実りある協議もできるし、目的を成就していくこともできる。戸田先生は、言っておられた。『信心のうえで呼吸があわない人は、必ず落後していく』と。心すべきご指導です」
ここで伸一は、今回の宗門事件のなかで、学会の組織を攪乱するなどした幹部がいたことから、その共通性に言及していった。「これまで、私の側近であるとか、特別な弟子であるなどと吹聴し、皆に迷惑をかけた幹部が一部におりました。結局、私を利用して自分の虚像をつくり、同志をだます手段にしてきたんです。
信心のうえで特別なつながりなどというものはありません。強いて言えば、私の身近にいて、すべてを託してきたのは、十条前会長であり、秋月現会長です。したがって“自分は側近である。特別な関係にある”などと言う言葉に騙されないでいただきたい。そんな発言をすること自体、おかしな魂胆であると見破っていただきたい。どこまでも、会長を中心に力を合わせていくことが、広宣流布を推進していくうえでの団結の基本です。未来のためにも、あえて申し上げておきます」
14日、伸一は、福岡県にも足を延ばし、久留米会館、八女会館を初訪問した。引き続き、筑後市内の個人会館で、懇談会を開いた。伸一は、広宣流布の途上には、予期せぬ困難が待ち受けており、その時こそ、リーダーの存在が、振る舞いが重要になることを確認しておきたかった。
「リーダーには、次の要件が求められます。『信念と確信の強い人でなければならない』『誠実で魅力ある人でなければならない』『健康でなければならない』『常に生き生きと指揮を執り、リズム正しい生活であるように留意すべきである』『仕事で、職場で、光った存在でなければならない。社会での実証は、指導力の輝きとなっていくからである』『指導にあたっては、常に平等で、良識的でなくてはならない』以上を、心に刻んで進んでいただきたい」
夜、熊本会館では、城南地域や天草からバスを連ねて、自由勤行会に集ってきた。これらの地域では悪僧の奸計によって、学会を辞めて檀徒になった幹部もいたのだ。昨日まで、すべて学会のおかげだと言っていた人物が、坊主の手先となって、学会を口汚く罵り、会員に脱会をそそのかしていったのである。
同志は、はらわたが煮えくり返る思いで、日々を過ごしてきた。“寺の檀徒をつくりたいなら、自分たちで、折伏すればよいではないか!それもせずに、信心のよくわからぬ、気の弱い学会員を狙って脱会させ、寺につけようとする!卑怯者のすることじゃ!信仰者のすることではない!”
皆の憤怒は激しかったが僧俗和合のためにと、黙していた。理不尽な状況があまりにも長く続き、耐え忍ぶしかないと考えるまでになっていたのだ。歯ぎしりしながらも、ひたすら広布の前進と、正邪が明らかになることを願っての唱題が続いた。
太字は 『新・人間革命』第30巻より 抜粋