『新・人間革命』第22巻 波濤の章 291p
女子部の部長から正役職と副役職の関係について質問があった。伸一は、副役職の根本姿勢は、副役職は遠慮し、活動に消極的になったり、組織から遠ざかってはいけないと話し、広宣流布の責任を、どこまで担っているかが、信心のバロメーターだと話した。
「組織につき切って戦い抜いた人と、離れていった人とでは、二年、三年、五年とたった時に、その差は歴然と現れます。」「人間と人間の絆、即ち組織のなかにこそ、仏道修行のための切磋琢磨があり、それによって、教えの流布も可能となるからだ」
「戸田先生は『創価学会仏』と言われた。末法万年の広宣流布のために、大聖人の御意思を受け継いで出現したのが創価学会です。だから、先生は、学会の組織は、ご自身の命よりも大事であると語られている。たとえ、時間的には制約があったとしても、戦う一念は、一歩たりとも退いてはならない」
「正役職の人は、副役職の人が、遠慮して力が発揮できなかったり、寂しさを感じたりすることがないように、しっかり抱きかかえる思いで、スクラムを組むことです。副部長との団結こそが、組織を重厚にし、何があっても崩れない万全な態勢をつくる力になります。」
「それには、まず、情報を共有し合い、副役職の人の意見をよく聞き、動きやすいようにしてあげることもです。何かの部門を担当してもらうこともいいでしょう。」伸一は、組織論の要諦を、未来の指導者となる彼女たちに、しっかりと語っておかなければならないと思った。
組織の強さというのは、正役職者と副役職者との、連携、協力によって決まってしまうといってよい。正役職者が、一人で、すべてをやっていれば、いつか疲れて、行き詰ってしまう。正役職者と心を合わせて働いてくれる副役職者が、何人もいれば、活動も、より重層的になる。
組織の団結とは、まず、この正・副の団結から始まる。そこから異体同心の連帯が広がり、難攻不落の城の石垣のように、堅固にして盤石な組織が出来上がるのだ。
伸一は、小説『坂の上の雲』に登場した大山巌元帥の例を通し、彼は、総参謀長の児玉源太郎らが、やりやすいように一切を任せ、細かな指図などしなかった。最後は、自分が責任をもつから安心して頑張れという、真の包容力があった。「あなたたちもそういう度量の、女性リーダーに育っていくんだよ」
グループ員が自分の言うことを聞いてくれないという質問に伸一は「根本的には題目です。一生懸命に唱題していけば、生命が輝く。そうなれば、磁石のように、人を引き付けていくことができる。みんなが、あなたの言うことを聞くようになっていきます。」
題目をあげていっても 断られてしまうという彼女に「それは、結論を急ぎ過ぎるからです。まず、心を通わせ合うことだよ。人間として打ち解け合い、理解し合っていくことから始めるんです。世間話から、人生には生き方の哲学が必要だという話をし、それから、教学を勉強しようとか、学会の会合に参加してみようと言ってみるんです」
「女子部、婦人部という組織自体が、最大の女性教育機関であることは間違いありません」「学会の女性たちは、仏法の生命哲理を根本に、さまざまな勉強をしている。幸福論、価値論、宗教論、教育論、平和論も学べば、政治、芸術、文化なども勉強している。そして、何よりも人間学に精通している」
「学会には、『知情意』を培う人間教育があります。しかも、学会では、単に教わるだけでなく、同時に、自分も教える側になり、互いに励まし合うという、切磋琢磨がある。また、信心には定年はない。したがって、学会には永遠の生涯教育がある。この伝統を守り、発展させていくことが必要です」
「組織といっても人間関係です。あなたたちが、自分の組織で、一人ひとりと、つながっていくんです。あなたたちが皆から、"あの人に励まされ、私は困難を克服した""あの人に勇気をもらった"と言われる存在になることです。」
伸一は、「青春会」の結成を記念し、記念写真を撮り、色紙に署名した。この日、21世紀の新しき創価の女性運動の流れを開く、人材の核がつくられたのである。新世紀建設の布石がなされたのだ。
「青春会」は、次々と各方面に誕生していった。結成から10年がたち、メンバーの多くは、既に結婚し、婦人部の最前線組織の先頭に立って活躍していた。彼女たちにとっては、環境の大きな変化の時であり、試練の時代であったともいえよう。
ここで、どう頑張り抜くかによって、広宣流布のリーダーとして、頭角を現していけるかどうかが、決定づけられてしまう。いわば、人生の飛躍を決定する正念場であった。
"「女性の世紀」である21世紀を、「青春会」に託すのだ!"伸一も、峯子も、その心で、生命を注ぐ思いで激励し、成長を見守り続けてきた。
遂に、目標とした21世紀。「青春会」は、見事に、婦人部の中核に育った。また、小学校の校長や国会議員など、社会の重責を担っている人もいる。「青春会」は、誓い通りに、皆が人生の本舞台に立った。いよいよ、この世の使命を果たすべき勝負の時を迎えた。創価学会、広宣流布は、その双肩にかかっているのだ。
人間として何をなすのか!弟子として、広宣流布のために何を残すのか!伸一は、師弟の道を貫く彼女たちの、尊き栄光の人生を、峯子と共に、ますます健康で、永遠に見守り続けていこうと、心に誓うのであった。
<波濤の章 終了>
太字は 『新・人間革命』第22巻より 抜粋
女子部の部長から正役職と副役職の関係について質問があった。伸一は、副役職の根本姿勢は、副役職は遠慮し、活動に消極的になったり、組織から遠ざかってはいけないと話し、広宣流布の責任を、どこまで担っているかが、信心のバロメーターだと話した。
「組織につき切って戦い抜いた人と、離れていった人とでは、二年、三年、五年とたった時に、その差は歴然と現れます。」「人間と人間の絆、即ち組織のなかにこそ、仏道修行のための切磋琢磨があり、それによって、教えの流布も可能となるからだ」
「戸田先生は『創価学会仏』と言われた。末法万年の広宣流布のために、大聖人の御意思を受け継いで出現したのが創価学会です。だから、先生は、学会の組織は、ご自身の命よりも大事であると語られている。たとえ、時間的には制約があったとしても、戦う一念は、一歩たりとも退いてはならない」
「正役職の人は、副役職の人が、遠慮して力が発揮できなかったり、寂しさを感じたりすることがないように、しっかり抱きかかえる思いで、スクラムを組むことです。副部長との団結こそが、組織を重厚にし、何があっても崩れない万全な態勢をつくる力になります。」
「それには、まず、情報を共有し合い、副役職の人の意見をよく聞き、動きやすいようにしてあげることもです。何かの部門を担当してもらうこともいいでしょう。」伸一は、組織論の要諦を、未来の指導者となる彼女たちに、しっかりと語っておかなければならないと思った。
組織の強さというのは、正役職者と副役職者との、連携、協力によって決まってしまうといってよい。正役職者が、一人で、すべてをやっていれば、いつか疲れて、行き詰ってしまう。正役職者と心を合わせて働いてくれる副役職者が、何人もいれば、活動も、より重層的になる。
組織の団結とは、まず、この正・副の団結から始まる。そこから異体同心の連帯が広がり、難攻不落の城の石垣のように、堅固にして盤石な組織が出来上がるのだ。
伸一は、小説『坂の上の雲』に登場した大山巌元帥の例を通し、彼は、総参謀長の児玉源太郎らが、やりやすいように一切を任せ、細かな指図などしなかった。最後は、自分が責任をもつから安心して頑張れという、真の包容力があった。「あなたたちもそういう度量の、女性リーダーに育っていくんだよ」
グループ員が自分の言うことを聞いてくれないという質問に伸一は「根本的には題目です。一生懸命に唱題していけば、生命が輝く。そうなれば、磁石のように、人を引き付けていくことができる。みんなが、あなたの言うことを聞くようになっていきます。」
題目をあげていっても 断られてしまうという彼女に「それは、結論を急ぎ過ぎるからです。まず、心を通わせ合うことだよ。人間として打ち解け合い、理解し合っていくことから始めるんです。世間話から、人生には生き方の哲学が必要だという話をし、それから、教学を勉強しようとか、学会の会合に参加してみようと言ってみるんです」
「女子部、婦人部という組織自体が、最大の女性教育機関であることは間違いありません」「学会の女性たちは、仏法の生命哲理を根本に、さまざまな勉強をしている。幸福論、価値論、宗教論、教育論、平和論も学べば、政治、芸術、文化なども勉強している。そして、何よりも人間学に精通している」
「学会には、『知情意』を培う人間教育があります。しかも、学会では、単に教わるだけでなく、同時に、自分も教える側になり、互いに励まし合うという、切磋琢磨がある。また、信心には定年はない。したがって、学会には永遠の生涯教育がある。この伝統を守り、発展させていくことが必要です」
「組織といっても人間関係です。あなたたちが、自分の組織で、一人ひとりと、つながっていくんです。あなたたちが皆から、"あの人に励まされ、私は困難を克服した""あの人に勇気をもらった"と言われる存在になることです。」
伸一は、「青春会」の結成を記念し、記念写真を撮り、色紙に署名した。この日、21世紀の新しき創価の女性運動の流れを開く、人材の核がつくられたのである。新世紀建設の布石がなされたのだ。
「青春会」は、次々と各方面に誕生していった。結成から10年がたち、メンバーの多くは、既に結婚し、婦人部の最前線組織の先頭に立って活躍していた。彼女たちにとっては、環境の大きな変化の時であり、試練の時代であったともいえよう。
ここで、どう頑張り抜くかによって、広宣流布のリーダーとして、頭角を現していけるかどうかが、決定づけられてしまう。いわば、人生の飛躍を決定する正念場であった。
"「女性の世紀」である21世紀を、「青春会」に託すのだ!"伸一も、峯子も、その心で、生命を注ぐ思いで激励し、成長を見守り続けてきた。
遂に、目標とした21世紀。「青春会」は、見事に、婦人部の中核に育った。また、小学校の校長や国会議員など、社会の重責を担っている人もいる。「青春会」は、誓い通りに、皆が人生の本舞台に立った。いよいよ、この世の使命を果たすべき勝負の時を迎えた。創価学会、広宣流布は、その双肩にかかっているのだ。
人間として何をなすのか!弟子として、広宣流布のために何を残すのか!伸一は、師弟の道を貫く彼女たちの、尊き栄光の人生を、峯子と共に、ますます健康で、永遠に見守り続けていこうと、心に誓うのであった。
<波濤の章 終了>
太字は 『新・人間革命』第22巻より 抜粋