『新・人間革命』第14巻 智友の章 P30~
機動隊の導入によって東大の封鎖が解除されたが、結局この年の東大入試は中止と決定された。機動隊による東大の封鎖解除はその後の学生運動に極めて大きな影響を与えることになる。全共闘を支援してきた各大学の学生は、国家権力の壁がいかに堅固であるかを痛感した。
機動隊の導入によって東大の封鎖が解除されたが、結局この年の東大入試は中止と決定された。機動隊による東大の封鎖解除はその後の学生運動に極めて大きな影響を与えることになる。全共闘を支援してきた各大学の学生は、国家権力の壁がいかに堅固であるかを痛感した。
挫折と失望に打ちのめされ、進むべき道を失い、空虚感に苛まれる学生もいた。そのなかで、警察の武力に対して、軍隊を組織し、武装化しようとするセクトが台頭していくことになる。
山本伸一は、どうすれば、解決の道が開かれるのかを考え続けていた。伸一は、東大の封鎖解除がされる前に発刊された婦人雑誌『主婦の友』に「学生問題に私はこう思う」と題して原稿を寄せた。その中で、彼は教授たちに「学生への愛情と信頼がなかったところに、紛争がかくまで手のつけようもないものとなった根本原因があったのではないかと思う」と述べている。
そして、学生たちが、一般学生を動員し、今日の騒ぎを起こすことができたのは、それなりの欠陥と不合理が現実にあるからであり、解決の糸口は、まず、この欠陥なり、矛盾なりを是正して、病原を取り除くことが急務であると指摘。
また、学生たちが純粋な動機とは裏腹に、ゲバルトという破壊的な抵抗運動に走っていった原因は、確かな理念がないからであると指摘するとともに、断じて暴力行為は許されないと訴えた。
さらに、これからの時代の革命に言及。「一人の人間を、心より納得させ、変革できないで、どうして社会全体を変えることができようか。暴力による破壊は、相手の理性に訴え、納得させる理念と、思想とをもたない、人間失格者の用いる手段といわれてもしかたあるまい。」
目的は手段を選ぶものだ。暴力という方法を用いた瞬間、いかに崇高な理想も汚辱にまみれる。革命途上に生じた矛盾や非人間的な実態は、革命後の社会の在り方を映し出す鏡なのである。
政府は「大学の運営に関する臨時措置法案」いわゆる「大学立法」を提出し、教育・学問の府への、国家権力の介入、管理により、紛争の解決を図ろうとした。
伸一は、直ちに、月刊誌『潮』に「大学革命について」と題し、筆を執った。「真の解決策は教育の尊厳を認め、政治から独立することに求めなければならない。本来、教育は、次代の人間と文化を創る厳粛な作業である。したがって、時の政治権力に左右されることのない、確固たる自律性をもつべきである。その意味から、私は、これまでの立法、司法、行政の三権に、教育を加え、四権分立案を提唱しておきたい」
真の教育方法の研究には、教師、学識者、学生、さらには父母も加わった自由な話し合いが必要であり、なかでも、教師の主体的な研究や教育実践を認めることが極めて重要となるが、教育は、行政権の一部とされ、文部省を中心とする教育行政に含まれていることは、どうしても政治権力の教育への介入を避けることはできない。
そこで、伸一は、教育の自主性、独立性を確保するために、立法、司法、行政の三権に教育を加えた「四権分立」を提唱したのである。政府が推し進めている大学立法の対極に立つ主張であり、大学、そして教育の在り方を根本から改革する提唱であった。
伸一の対応は、実に素早かった。どんな気構えをもっていようが、声をあげるべき時にあげなければ、眠っているに等しい。言論戦とは、まさに、「時」を見極める戦いであり、また、時間との勝負でもある。
学生部員は、伸一の「四権分立」構想に、強い共感を覚えた。伸一の「大学革命について」は、学生部の機関誌に転載され、この新聞を手に、キャンパスで、あるいは街頭で、大学立法の粉砕を叫んでいったのである。
山本伸一は、どうすれば、解決の道が開かれるのかを考え続けていた。伸一は、東大の封鎖解除がされる前に発刊された婦人雑誌『主婦の友』に「学生問題に私はこう思う」と題して原稿を寄せた。その中で、彼は教授たちに「学生への愛情と信頼がなかったところに、紛争がかくまで手のつけようもないものとなった根本原因があったのではないかと思う」と述べている。
そして、学生たちが、一般学生を動員し、今日の騒ぎを起こすことができたのは、それなりの欠陥と不合理が現実にあるからであり、解決の糸口は、まず、この欠陥なり、矛盾なりを是正して、病原を取り除くことが急務であると指摘。
また、学生たちが純粋な動機とは裏腹に、ゲバルトという破壊的な抵抗運動に走っていった原因は、確かな理念がないからであると指摘するとともに、断じて暴力行為は許されないと訴えた。
さらに、これからの時代の革命に言及。「一人の人間を、心より納得させ、変革できないで、どうして社会全体を変えることができようか。暴力による破壊は、相手の理性に訴え、納得させる理念と、思想とをもたない、人間失格者の用いる手段といわれてもしかたあるまい。」
目的は手段を選ぶものだ。暴力という方法を用いた瞬間、いかに崇高な理想も汚辱にまみれる。革命途上に生じた矛盾や非人間的な実態は、革命後の社会の在り方を映し出す鏡なのである。
政府は「大学の運営に関する臨時措置法案」いわゆる「大学立法」を提出し、教育・学問の府への、国家権力の介入、管理により、紛争の解決を図ろうとした。
伸一は、直ちに、月刊誌『潮』に「大学革命について」と題し、筆を執った。「真の解決策は教育の尊厳を認め、政治から独立することに求めなければならない。本来、教育は、次代の人間と文化を創る厳粛な作業である。したがって、時の政治権力に左右されることのない、確固たる自律性をもつべきである。その意味から、私は、これまでの立法、司法、行政の三権に、教育を加え、四権分立案を提唱しておきたい」
真の教育方法の研究には、教師、学識者、学生、さらには父母も加わった自由な話し合いが必要であり、なかでも、教師の主体的な研究や教育実践を認めることが極めて重要となるが、教育は、行政権の一部とされ、文部省を中心とする教育行政に含まれていることは、どうしても政治権力の教育への介入を避けることはできない。
そこで、伸一は、教育の自主性、独立性を確保するために、立法、司法、行政の三権に教育を加えた「四権分立」を提唱したのである。政府が推し進めている大学立法の対極に立つ主張であり、大学、そして教育の在り方を根本から改革する提唱であった。
伸一の対応は、実に素早かった。どんな気構えをもっていようが、声をあげるべき時にあげなければ、眠っているに等しい。言論戦とは、まさに、「時」を見極める戦いであり、また、時間との勝負でもある。
学生部員は、伸一の「四権分立」構想に、強い共感を覚えた。伸一の「大学革命について」は、学生部の機関誌に転載され、この新聞を手に、キャンパスで、あるいは街頭で、大学立法の粉砕を叫んでいったのである。
太字は 『新・人間革命』第14巻より 抜粋