『新・人間革命』第6巻 加速の章 P233~
太字は 『新・人間革命』第6巻より抜粋
総会が行われた、5月3日の夜、東京・荒川区の常磐線三河島ー南千住間で傷ましい大参事が起こった。
電車の二十衝突事故である。連休で混み合っていたこともあり、死者160人、重軽傷者325人を出すに至った。
伸一は、事故に遭った会員の家族を全力で激励する一方、何がこれほどの大参事を引き起こしてしまったのかを考えていた。
当時、国鉄(現在のJR)では労使問題が紛糾し、しばしばストライキや信号所を占拠する事態が生じていたことから、そうしたなかで国鉄職員の綱紀の緩みが生まれ、この事故につながったと指摘する評論家もいた。
伸一は、見方を変えれば、いかに神経を働かせ、注意を払っていたとしても、ミスをしてしまうのが人間ともいえる。したがって、ミスを事前に防止でき、たとえミスがあったても、事故を防げる対策が施されていなければならない。
二年後の1964年(昭和39年)に開催される東京オリンピックをめざして、道路やビルの建設も急ピッチで進み、日本の経済はめざましい発展を遂げつつあった。だが、山本伸一は、経済ばかりが先行し、人命を守るという最も肝心なことが見失われつつあることが、心配でならなかった。
国や社会の豊かさ、文化の成熟度は、単に物質的な側面や経済的な発展だけで推し量ることはできない。人命や人権を守るために、どれだけの配慮があり、いかなる対策が講じられているかこそ、実は最も根本的な尺度といえよう。
そして、人命、人権を守る国家、社会を築くには、生命の尊厳という理念、哲学が絶対の要請となる。
哲学という精神の骨格のない現代の日本は、何を根本の価値とすべきか、何と最優先すべきかがわからなかくなってしまっている。これは、放置しておけば大変なことになる。この事故は未来への警鐘だ。
伸一は、人間の精神の勝利のために、仏法という真実のヒューマニズムの哲理を、一日も早く、流布しなければならないと思った。彼は、広宣流布の前進の加速の必要性を、強く実感したのである。
全国の同志も、この三河島事故に、仏法の生命哲理が深く根差していれば、こんな事態には至らなかったのではないかと、痛恨の思いをいだいた。そして、広宣流布への使命と責任を、さらに深く自覚していったのである。
山本伸一の会長就任3周年へのスタートを切った5月は、弘教の勢いが一段と高まった。
伸一はこの5月6月で、全国を一巡し、各地の同志とともに、再び新出発することを決意していた。
人を燃え上がらせるためには、まず、リーダーが自らの生命を完全燃焼させることだ。人を動かすには、自らが動き抜くことだ。御聖訓には『大将軍をくしぬれば歩兵臆病なり』と。
組織といっても、リーダーの一念の投影である。
ゆえに、指導者は自らに問わねばならない。勝利への決定した心はあるか。
強盛なる祈りはあるか。
燃え上がる歓喜はあるか。
そして、今日もわが行動に悔いはないかーと。
それは伸一が戸田城聖から教えられた将軍学でもあった。
広宣流布の前進は加速度を増し、三百万世帯の達成まで、もう一歩となった。
<加速の章 終了>
電車の二十衝突事故である。連休で混み合っていたこともあり、死者160人、重軽傷者325人を出すに至った。
伸一は、事故に遭った会員の家族を全力で激励する一方、何がこれほどの大参事を引き起こしてしまったのかを考えていた。
当時、国鉄(現在のJR)では労使問題が紛糾し、しばしばストライキや信号所を占拠する事態が生じていたことから、そうしたなかで国鉄職員の綱紀の緩みが生まれ、この事故につながったと指摘する評論家もいた。
伸一は、見方を変えれば、いかに神経を働かせ、注意を払っていたとしても、ミスをしてしまうのが人間ともいえる。したがって、ミスを事前に防止でき、たとえミスがあったても、事故を防げる対策が施されていなければならない。
二年後の1964年(昭和39年)に開催される東京オリンピックをめざして、道路やビルの建設も急ピッチで進み、日本の経済はめざましい発展を遂げつつあった。だが、山本伸一は、経済ばかりが先行し、人命を守るという最も肝心なことが見失われつつあることが、心配でならなかった。
国や社会の豊かさ、文化の成熟度は、単に物質的な側面や経済的な発展だけで推し量ることはできない。人命や人権を守るために、どれだけの配慮があり、いかなる対策が講じられているかこそ、実は最も根本的な尺度といえよう。
そして、人命、人権を守る国家、社会を築くには、生命の尊厳という理念、哲学が絶対の要請となる。
哲学という精神の骨格のない現代の日本は、何を根本の価値とすべきか、何と最優先すべきかがわからなかくなってしまっている。これは、放置しておけば大変なことになる。この事故は未来への警鐘だ。
伸一は、人間の精神の勝利のために、仏法という真実のヒューマニズムの哲理を、一日も早く、流布しなければならないと思った。彼は、広宣流布の前進の加速の必要性を、強く実感したのである。
全国の同志も、この三河島事故に、仏法の生命哲理が深く根差していれば、こんな事態には至らなかったのではないかと、痛恨の思いをいだいた。そして、広宣流布への使命と責任を、さらに深く自覚していったのである。
山本伸一の会長就任3周年へのスタートを切った5月は、弘教の勢いが一段と高まった。
伸一はこの5月6月で、全国を一巡し、各地の同志とともに、再び新出発することを決意していた。
人を燃え上がらせるためには、まず、リーダーが自らの生命を完全燃焼させることだ。人を動かすには、自らが動き抜くことだ。御聖訓には『大将軍をくしぬれば歩兵臆病なり』と。
組織といっても、リーダーの一念の投影である。
ゆえに、指導者は自らに問わねばならない。勝利への決定した心はあるか。
強盛なる祈りはあるか。
燃え上がる歓喜はあるか。
そして、今日もわが行動に悔いはないかーと。
それは伸一が戸田城聖から教えられた将軍学でもあった。
広宣流布の前進は加速度を増し、三百万世帯の達成まで、もう一歩となった。
<加速の章 終了>