『新・人間革命』第4巻 春嵐の章 P38~
「大阪事件」とは どのようなものであったのか、その背景と真実を
絶対に 忘れてはならない。
「大阪事件」とは
1957年(昭和32年)4月に行われた、参議院議員の大阪地方区の補欠選挙で、
東京から来た一部の会員が引き起こした買収事件と、熱心さのあまり、
何人かの同志が戸別訪問し、逮捕されたことから始まった事件であった。
山本伸一が、この選挙の最高責任者であったことから、彼にも嫌疑がかけられ、
その年の7月3日から15日間にわたって逮捕・拘留されたのである。
大阪事件には、会員の選挙違反を契機にして、新しき民衆勢力である創価学会の台頭を
打ち砕こうとする権力の意図が潜んでいたといってよい。
検察は、取り調べの段階で、選挙違反が山本伸一と無関係であることに、
気づき始めたようだ。しかし、違反を伸一の指示による組織的犯行に仕立て上げるために、
検事は、彼が罪を認めなければ、会長である戸田城聖を逮捕するなどと言い出したのである。
伸一が逮捕されたのは、戸田の逝去の9か月前のことであった。
当時、戸田の体は、既に衰弱しており、逮捕は、師にも結びつきかねなかった。
伸一は、呻吟の末に、ひとたびは一身に罪を被り、
法廷で真実を証明することを決意したのである。
裁判は1957年(昭和32年)10月18日から始まった。起訴の段階から、
伸一の買収関係の容疑は外されていた。
買収の嫌疑がかけられていた、理事長の小西武雄は 当然のことながら無罪になった。
判決に対して、検察の控訴はなかったが、彼らは会長の伸一だけは、
なんとしても有罪に追い込もうと躍起になったようだ。
弁護士の一人が 事態はかなり厳しい見通しなので、有罪を覚悟してもらいたいと話す。
伸一は、憮然とした顔で言った。
「無実の人間が、どうして断罪されなければならないのでしょうか。
真実を明らかにして、無罪を勝ち取るのが、弁護士の使命ではありませんか。」
弁護士は 検察は巧妙に証言を積み上げてきているので、それを覆すことは
容易ではないと話す。
伸一は
「自分が有罪になることを恐れているのではありません。
ただ、検察という国家権力の、そんな横暴が許されてしまえば、
正義も、人権もなくなってしまうことを恐れるのです。だから、
私は戦います。断固無罪を勝ち取ってみせます。」
彼は弁護士の言葉に、孤立無援を感じていた。
大阪事件の裁判は、常に、重く伸一の心にのしかかっていた。場合によっては、
会長である自分が、無実の罪で服役する事態になりかねないのである。
弁護士さえ、それを覚悟しろというのだ。
同志の悲しみを思うと、たまらなく苦しかった。
しかし、彼は思った。
“広宣流布の遥かな道程を思えば、こんなことなど、まだ小難にすぎない。春の嵐だ。
未来には、想像もできない大難が待ち受けていよう”
広宣流布への決定した一念から発する、彼の烈々たる生命力は、その苦難をはねのけ、
愛する同市への励ましの闘魂を燃え上がらせていったのである。
太字は 『新・人間革命』第4巻より抜粋
「大阪事件」とは どのようなものであったのか、その背景と真実を
絶対に 忘れてはならない。
「大阪事件」とは
1957年(昭和32年)4月に行われた、参議院議員の大阪地方区の補欠選挙で、
東京から来た一部の会員が引き起こした買収事件と、熱心さのあまり、
何人かの同志が戸別訪問し、逮捕されたことから始まった事件であった。
山本伸一が、この選挙の最高責任者であったことから、彼にも嫌疑がかけられ、
その年の7月3日から15日間にわたって逮捕・拘留されたのである。
大阪事件には、会員の選挙違反を契機にして、新しき民衆勢力である創価学会の台頭を
打ち砕こうとする権力の意図が潜んでいたといってよい。
検察は、取り調べの段階で、選挙違反が山本伸一と無関係であることに、
気づき始めたようだ。しかし、違反を伸一の指示による組織的犯行に仕立て上げるために、
検事は、彼が罪を認めなければ、会長である戸田城聖を逮捕するなどと言い出したのである。
伸一が逮捕されたのは、戸田の逝去の9か月前のことであった。
当時、戸田の体は、既に衰弱しており、逮捕は、師にも結びつきかねなかった。
伸一は、呻吟の末に、ひとたびは一身に罪を被り、
法廷で真実を証明することを決意したのである。
裁判は1957年(昭和32年)10月18日から始まった。起訴の段階から、
伸一の買収関係の容疑は外されていた。
買収の嫌疑がかけられていた、理事長の小西武雄は 当然のことながら無罪になった。
判決に対して、検察の控訴はなかったが、彼らは会長の伸一だけは、
なんとしても有罪に追い込もうと躍起になったようだ。
弁護士の一人が 事態はかなり厳しい見通しなので、有罪を覚悟してもらいたいと話す。
伸一は、憮然とした顔で言った。
「無実の人間が、どうして断罪されなければならないのでしょうか。
真実を明らかにして、無罪を勝ち取るのが、弁護士の使命ではありませんか。」
弁護士は 検察は巧妙に証言を積み上げてきているので、それを覆すことは
容易ではないと話す。
伸一は
「自分が有罪になることを恐れているのではありません。
ただ、検察という国家権力の、そんな横暴が許されてしまえば、
正義も、人権もなくなってしまうことを恐れるのです。だから、
私は戦います。断固無罪を勝ち取ってみせます。」
彼は弁護士の言葉に、孤立無援を感じていた。
大阪事件の裁判は、常に、重く伸一の心にのしかかっていた。場合によっては、
会長である自分が、無実の罪で服役する事態になりかねないのである。
弁護士さえ、それを覚悟しろというのだ。
同志の悲しみを思うと、たまらなく苦しかった。
しかし、彼は思った。
“広宣流布の遥かな道程を思えば、こんなことなど、まだ小難にすぎない。春の嵐だ。
未来には、想像もできない大難が待ち受けていよう”
広宣流布への決定した一念から発する、彼の烈々たる生命力は、その苦難をはねのけ、
愛する同市への励ましの闘魂を燃え上がらせていったのである。
太字は 『新・人間革命』第4巻より抜粋