『新・人間革命』第7巻 萌芽の章 P103~
<萌芽の章 始まる>
1963年(昭和38年)「教学の年」
6日、教学部任用試験が行われ、全国で約50万人が受験した。
8日の午前10時半には、山本伸一は、世界のメンバーの激励・指導へと飛び立ったのである。
伸一は、この訪問で、10年先、30年先、100年先のために、世界の広宣流布の楔を打つ決意であった。
一日一日が勝負である。一瞬一瞬が決戦である。"この時"を逃さず、力の限り道を切り開いてこそ、未来の燦たる栄光が待っている。
山本伸一がハワイの智に降り立ったのは、1960年10月の初訪問以来、2年3か月ぶりであった。
前回の訪問の折には、日本語だけで話は通じたが、今ではアメリカ人も増え、状況は大きく変わっていたのだ。それ自体がハワイの発展を物語っていた。
「歴史をつくるのは民衆です。一人ひとりが自己自身に挑み、わが人生、わが舞台の"主役"として力を出しきっていく時、必ず新しい時代の扉は開かれます。」
春山栄美子が痛感したのは、語学力よりも、むしろ指導力の不足であった。メンバーの悩みは、彼女が日本で、指導・激励してきた女子部員の悩みとは異なり、ほとんどが生きるか死ぬかを考える、切羽詰まった問題であった。
彼女は自らを鼓舞しながら、全力で激励に走った。だが、アメリカ全土に点在するメンバーを一人、二人と励まし、立ち上がらせても、自分の思い描くアメリカ広布には、ほど遠かった。まるで、太平洋の水をスプーンですくっているような、もどかしさを覚えてならなかった。
「先生、アメリカは広いんです・・・」
伸一は、微笑を浮かべながら言った。
「そんなことはわかっているよ。でも、私から見れば、アメリカといっても、庭先のようなものだ。大事なことは、自分の境涯だよ。地表から見ている時には、限りなく高く感じられる石の壁も、飛行機から眺めれば、地にへばりついているような、低い境目にしか見えない。」
「同じように、自分の境涯が変われば、物事の感じ方、とらえ方も変わっていくものだ。逆境も、苦難も、人生のドラマを楽しむように、悠々と乗り越えていくことができる。」
「その境涯革命の原動力は、強い一念を込めた真剣な唱題だ。題目を唱えぬいて、勇気を奮い起こして行動し、自分の壁を打ち破った時に、境涯を開くことができる。」
「南無妙法蓮華経は大宇宙に通ずる。御書にも『一身一念法界に遍し』とあるじゃないか。宇宙をも包み込む第境涯に、自分を変えていくことができるのが仏法だ」
その言葉を聞くと、彼女は、電撃に打たれた思いがした。"そうだ、アメリカが広いのではなく、私の境涯が狭く、小さなために、現実の厳しさに負けてしまっているにすぎないのだ。先生は、アメリカを、決して遠い国とは思っていらっしゃらない。離れていたのは、先生と私の心の距離ではなかったのか・・・"彼女は、目の前の霧がすっと晴れていくような気がした。
太字は 『新・人間革命』第7巻より抜粋
<萌芽の章 始まる>
1963年(昭和38年)「教学の年」
6日、教学部任用試験が行われ、全国で約50万人が受験した。
8日の午前10時半には、山本伸一は、世界のメンバーの激励・指導へと飛び立ったのである。
伸一は、この訪問で、10年先、30年先、100年先のために、世界の広宣流布の楔を打つ決意であった。
一日一日が勝負である。一瞬一瞬が決戦である。"この時"を逃さず、力の限り道を切り開いてこそ、未来の燦たる栄光が待っている。
山本伸一がハワイの智に降り立ったのは、1960年10月の初訪問以来、2年3か月ぶりであった。
前回の訪問の折には、日本語だけで話は通じたが、今ではアメリカ人も増え、状況は大きく変わっていたのだ。それ自体がハワイの発展を物語っていた。
「歴史をつくるのは民衆です。一人ひとりが自己自身に挑み、わが人生、わが舞台の"主役"として力を出しきっていく時、必ず新しい時代の扉は開かれます。」
春山栄美子が痛感したのは、語学力よりも、むしろ指導力の不足であった。メンバーの悩みは、彼女が日本で、指導・激励してきた女子部員の悩みとは異なり、ほとんどが生きるか死ぬかを考える、切羽詰まった問題であった。
彼女は自らを鼓舞しながら、全力で激励に走った。だが、アメリカ全土に点在するメンバーを一人、二人と励まし、立ち上がらせても、自分の思い描くアメリカ広布には、ほど遠かった。まるで、太平洋の水をスプーンですくっているような、もどかしさを覚えてならなかった。
「先生、アメリカは広いんです・・・」
伸一は、微笑を浮かべながら言った。
「そんなことはわかっているよ。でも、私から見れば、アメリカといっても、庭先のようなものだ。大事なことは、自分の境涯だよ。地表から見ている時には、限りなく高く感じられる石の壁も、飛行機から眺めれば、地にへばりついているような、低い境目にしか見えない。」
「同じように、自分の境涯が変われば、物事の感じ方、とらえ方も変わっていくものだ。逆境も、苦難も、人生のドラマを楽しむように、悠々と乗り越えていくことができる。」
「その境涯革命の原動力は、強い一念を込めた真剣な唱題だ。題目を唱えぬいて、勇気を奮い起こして行動し、自分の壁を打ち破った時に、境涯を開くことができる。」
「南無妙法蓮華経は大宇宙に通ずる。御書にも『一身一念法界に遍し』とあるじゃないか。宇宙をも包み込む第境涯に、自分を変えていくことができるのが仏法だ」
その言葉を聞くと、彼女は、電撃に打たれた思いがした。"そうだ、アメリカが広いのではなく、私の境涯が狭く、小さなために、現実の厳しさに負けてしまっているにすぎないのだ。先生は、アメリカを、決して遠い国とは思っていらっしゃらない。離れていたのは、先生と私の心の距離ではなかったのか・・・"彼女は、目の前の霧がすっと晴れていくような気がした。
太字は 『新・人間革命』第7巻より抜粋