『新・人間革命』第7巻 文化の華の章 P92~
本部幹部会では、代表に300万世帯達成の記念メダルが贈られた。
不幸に泣く人びとを励まし、救いゆく行為は、まことに地味な労作業であるが、人間として最も尊い聖業といえる。そして、それを成し遂げてきたわが同志こそ、社会における最高の功労者である。
しかし、国家は学識者や政治家などには勲章を贈っても、この民衆の大功労者には、目を向けようともしない。
伸一は、学会の会長として、健気な同志の功労を、”民衆の英雄”を称えたかった。
日蓮大聖人の時代から、700年、今、民衆を主役とした仏法の大生命哲学運動の潮流は、深く、静かに、ひたひたと社会を包み、新しき人間復権の時代の幕を開こうとしていた。
このころ、山本伸一の身辺は、にわかに慌ただしくなっていた。
アメリカのケネディ大統領から、会見を申し込まれたのである。ある著名な民間人が伸一を訪ね、ケネディとの会見の意向を打診したのだ。
その人は言った。「私は、本日はアメリカの国務省の意向を受け、その使者としてまいりました。突然の話で驚かれるかもしれませんが、ケネディ大統領は、あなたと個人的に会見を希望されております。そして、あなたに、会見する意向があるのか確かめるように依頼されたのです。あなたのお気持ちをお聞かせください」
一瞬、伸一は回答に窮した。会見を希望する意図がどこにあるのか、即座に判断しかねたからだ。しかし、その瞬間に、彼の頭脳は、目まぐるしく回転した。
ーー学会は同志を参議院に送り、今や15議席を確保し、公明会を誕生させるに至った。また、300万世帯を達成し、事実上、日本最大の宗教団体となった。
それだけに、ケネディは、創価学会に対して、大きな関心をいだいているにちがいない。また、学会の存在は、日本の社会にあって大きな比重を占めるだけに、左右両勢力のいずれにつくのか、確認しておこうという意図もあるのかもしれない。
それは、世界の指導者としては、当然の着眼点といえよう。しかし、伸一は、その会見が政治的に利用されることを憂慮した。
だが、伸一は、東西の冷戦に終止符を打ち、核戦争を回避していくためには、西側陣営の指導者であるケネディと会い、忌憚のない語らいをしていく必要性を痛感していった。
何秒かの沈黙のあと、伸一は、静かに答えた。「わかりました。ケネディ大統領とお会いすることにいたしましょう」ケネディ大統領と山本伸一の会見は、その後具体的に煮詰まっていった。
会見の日は、ケネディのスケジュールに合わせ、年が明けた2月と決まり、伸一がワシントンを訪問することになった。
伸一の胸には、新しき年の成すべき課題が次々浮かんだ。”来年は、世界の堅固な礎を築くことから着手しよう”
"今年の、5倍10倍の戦いを展開するのだ。連戦連勝こそが、私に課せられた絶対の責任だ!もし、広宣流布の戦いに敗れれば、会員が悲しむ。皆が不幸になる。"
"よく人は、負けた悔しさをバネに、次の勝利を期すと言う。しかし、それは、所詮は敗北を容認する甘えではないか。私には、そんな甘えは許されない。"
"私は、勝つために悩みに悩み、苦しみに苦しむ。そして、必ず勝って、その大勝利の喜びを源泉として、学会は前進するのだ!"
伸一は、ぎゅっと拳を握りしめた。
<文化の華の章終了>
太字は 『新・人間革命』第7巻より抜粋
本部幹部会では、代表に300万世帯達成の記念メダルが贈られた。
不幸に泣く人びとを励まし、救いゆく行為は、まことに地味な労作業であるが、人間として最も尊い聖業といえる。そして、それを成し遂げてきたわが同志こそ、社会における最高の功労者である。
しかし、国家は学識者や政治家などには勲章を贈っても、この民衆の大功労者には、目を向けようともしない。
伸一は、学会の会長として、健気な同志の功労を、”民衆の英雄”を称えたかった。
日蓮大聖人の時代から、700年、今、民衆を主役とした仏法の大生命哲学運動の潮流は、深く、静かに、ひたひたと社会を包み、新しき人間復権の時代の幕を開こうとしていた。
このころ、山本伸一の身辺は、にわかに慌ただしくなっていた。
アメリカのケネディ大統領から、会見を申し込まれたのである。ある著名な民間人が伸一を訪ね、ケネディとの会見の意向を打診したのだ。
その人は言った。「私は、本日はアメリカの国務省の意向を受け、その使者としてまいりました。突然の話で驚かれるかもしれませんが、ケネディ大統領は、あなたと個人的に会見を希望されております。そして、あなたに、会見する意向があるのか確かめるように依頼されたのです。あなたのお気持ちをお聞かせください」
一瞬、伸一は回答に窮した。会見を希望する意図がどこにあるのか、即座に判断しかねたからだ。しかし、その瞬間に、彼の頭脳は、目まぐるしく回転した。
ーー学会は同志を参議院に送り、今や15議席を確保し、公明会を誕生させるに至った。また、300万世帯を達成し、事実上、日本最大の宗教団体となった。
それだけに、ケネディは、創価学会に対して、大きな関心をいだいているにちがいない。また、学会の存在は、日本の社会にあって大きな比重を占めるだけに、左右両勢力のいずれにつくのか、確認しておこうという意図もあるのかもしれない。
それは、世界の指導者としては、当然の着眼点といえよう。しかし、伸一は、その会見が政治的に利用されることを憂慮した。
だが、伸一は、東西の冷戦に終止符を打ち、核戦争を回避していくためには、西側陣営の指導者であるケネディと会い、忌憚のない語らいをしていく必要性を痛感していった。
何秒かの沈黙のあと、伸一は、静かに答えた。「わかりました。ケネディ大統領とお会いすることにいたしましょう」ケネディ大統領と山本伸一の会見は、その後具体的に煮詰まっていった。
会見の日は、ケネディのスケジュールに合わせ、年が明けた2月と決まり、伸一がワシントンを訪問することになった。
伸一の胸には、新しき年の成すべき課題が次々浮かんだ。”来年は、世界の堅固な礎を築くことから着手しよう”
"今年の、5倍10倍の戦いを展開するのだ。連戦連勝こそが、私に課せられた絶対の責任だ!もし、広宣流布の戦いに敗れれば、会員が悲しむ。皆が不幸になる。"
"よく人は、負けた悔しさをバネに、次の勝利を期すと言う。しかし、それは、所詮は敗北を容認する甘えではないか。私には、そんな甘えは許されない。"
"私は、勝つために悩みに悩み、苦しみに苦しむ。そして、必ず勝って、その大勝利の喜びを源泉として、学会は前進するのだ!"
伸一は、ぎゅっと拳を握りしめた。
<文化の華の章終了>
太字は 『新・人間革命』第7巻より抜粋