『新・人間革命』第5巻 獅子の章 P300~
1月17日、通常国会の開会式終了後、創価学会の参議院議員が記者会見を行い、
『公明政治連盟』という支持団体を発足したことを発表した。
山本伸一が、「公明政治連盟」という政治団体結成に踏み切った最大の理由は、創価学会は、どこまでも宗教団体であり、その宗教団体が、直接、政治そのものに関与することは、将来的に見て、避けた方がよいという判断からであった。いわば、学会として自主的に組織のうえで宗教と政治の分離を図っていこうとしていたのである。
本来、宗教団体が候補者を立てることも、政治に関与することも、憲法で保障された自由であり、権利である。
したがって、創価学会が政界に同志を送り出すことも、学会自体が政治活動を行うことも自由である。
戸田城聖は、それぞれ好きな政党に所属し、活動すればよいとしていた。しかし、議員たちは、実際に議員活動を開始してみると、どの政党の在り方にも、心から賛同することはできなかった。
寄り合い所帯の無所属クラブでは、それぞれの考え方も異なり、具体的な見解を発表する段になると、意見の調整は、しばしば難航せざるをえなかった。
やはり、政治の世界にあっては、政治団体等いう立脚点が必要であると、学会員の参議院議員たちは痛感していった。
伸一も 新たに政治団体をつくるということについては、賛成だったが、議員たちに厳しい口調で言った。「勘違いしてもらっては困るのは、この政治団体は、学会のためのものではない。私は、そんな小さな考えではなく、広く国民の幸福を願い、民衆に奉仕していく、慈悲の精神に貫かれた新たな政治団体をつくろうとしているんです。」
「私の願いは、政治団体がスタートしたならば、一日も早く自立し、民衆の大きな信頼と支持を得るものにしていってほしいということです。」
衆議院への出馬や、政党をつくることに関しては、まだ早いといって
「当面は、まず、参議院の問題から取り組んでいこう。」
「参議院は、衆議院の行き過ぎを是正し、補うべきは補うという機能が働かなくなってしまった。議員が自分の所属している党の党利党略によって動いているからだ。」
「参議院を、本来の、“良識の府”にしていくことが、政治を国民の手に取り戻すうえで、差し迫った課題ではないかと思う。」と意見を述べた。
「立正安国」の精神の反映ということでは、日本の政治の現状から見て、避けて通ることのできない課題であるかもしれない。
しかし、政党をつくり、衆議院にも人を送ることになれば、少なくとも支援団体としての学会の負担は大きくなる。また、それによって、学会までも政争に巻き込まれ、既存の政党から、さらに激しい攻撃にさらされるであろうことは目に見えていた。
衆議院への進出は、伸一の一存で決まる問題ではないが、その選択をしなければならぬ時が、次第に迫りつつあることを、彼は痛感せざるをえなかった。
政治団体の名称については、戸田城聖が、将来会派をつくる時には“公明会”にしようと言っていたと話す関久男。その理由として、「学会の選挙運動は金もかけず、買収などとは無縁の公明選挙であるし、宴会政治のような腐敗した政界を正すのが君たちの使命であるからだ」と話していたと語る。
「政治の善し悪しは、ただ政治家だけによって決まるものではない。政治家を支援し、投票する人びとの意識、要望が、政治家を動かし、政治を決定づける大きな要因となっていくものである。ゆえに、政治の本当の改革は、民衆の良識と意識の向上を抜きにしてはありえない。学会は、その民衆を目覚めさせ、聡明にし、社会の行く手を見すえる眼を開かせてきたのである。」
「議員というのは、住民のためにあそこまで泥まみれになって働いてくれるのかと、誰からも称賛されるような、模範を示していってほしいのです。民衆を守る獅子となれー それが私の願いであり、期待です。また、皆さんを支援してきた同志も同じ思いでいるでしょう。」と伸一は、心情を語った。
太字は 『新・人間革命』第5巻より抜粋
1月17日、通常国会の開会式終了後、創価学会の参議院議員が記者会見を行い、
『公明政治連盟』という支持団体を発足したことを発表した。
山本伸一が、「公明政治連盟」という政治団体結成に踏み切った最大の理由は、創価学会は、どこまでも宗教団体であり、その宗教団体が、直接、政治そのものに関与することは、将来的に見て、避けた方がよいという判断からであった。いわば、学会として自主的に組織のうえで宗教と政治の分離を図っていこうとしていたのである。
本来、宗教団体が候補者を立てることも、政治に関与することも、憲法で保障された自由であり、権利である。
したがって、創価学会が政界に同志を送り出すことも、学会自体が政治活動を行うことも自由である。
戸田城聖は、それぞれ好きな政党に所属し、活動すればよいとしていた。しかし、議員たちは、実際に議員活動を開始してみると、どの政党の在り方にも、心から賛同することはできなかった。
寄り合い所帯の無所属クラブでは、それぞれの考え方も異なり、具体的な見解を発表する段になると、意見の調整は、しばしば難航せざるをえなかった。
やはり、政治の世界にあっては、政治団体等いう立脚点が必要であると、学会員の参議院議員たちは痛感していった。
伸一も 新たに政治団体をつくるということについては、賛成だったが、議員たちに厳しい口調で言った。「勘違いしてもらっては困るのは、この政治団体は、学会のためのものではない。私は、そんな小さな考えではなく、広く国民の幸福を願い、民衆に奉仕していく、慈悲の精神に貫かれた新たな政治団体をつくろうとしているんです。」
「私の願いは、政治団体がスタートしたならば、一日も早く自立し、民衆の大きな信頼と支持を得るものにしていってほしいということです。」
衆議院への出馬や、政党をつくることに関しては、まだ早いといって
「当面は、まず、参議院の問題から取り組んでいこう。」
「参議院は、衆議院の行き過ぎを是正し、補うべきは補うという機能が働かなくなってしまった。議員が自分の所属している党の党利党略によって動いているからだ。」
「参議院を、本来の、“良識の府”にしていくことが、政治を国民の手に取り戻すうえで、差し迫った課題ではないかと思う。」と意見を述べた。
「立正安国」の精神の反映ということでは、日本の政治の現状から見て、避けて通ることのできない課題であるかもしれない。
しかし、政党をつくり、衆議院にも人を送ることになれば、少なくとも支援団体としての学会の負担は大きくなる。また、それによって、学会までも政争に巻き込まれ、既存の政党から、さらに激しい攻撃にさらされるであろうことは目に見えていた。
衆議院への進出は、伸一の一存で決まる問題ではないが、その選択をしなければならぬ時が、次第に迫りつつあることを、彼は痛感せざるをえなかった。
政治団体の名称については、戸田城聖が、将来会派をつくる時には“公明会”にしようと言っていたと話す関久男。その理由として、「学会の選挙運動は金もかけず、買収などとは無縁の公明選挙であるし、宴会政治のような腐敗した政界を正すのが君たちの使命であるからだ」と話していたと語る。
「政治の善し悪しは、ただ政治家だけによって決まるものではない。政治家を支援し、投票する人びとの意識、要望が、政治家を動かし、政治を決定づける大きな要因となっていくものである。ゆえに、政治の本当の改革は、民衆の良識と意識の向上を抜きにしてはありえない。学会は、その民衆を目覚めさせ、聡明にし、社会の行く手を見すえる眼を開かせてきたのである。」
「議員というのは、住民のためにあそこまで泥まみれになって働いてくれるのかと、誰からも称賛されるような、模範を示していってほしいのです。民衆を守る獅子となれー それが私の願いであり、期待です。また、皆さんを支援してきた同志も同じ思いでいるでしょう。」と伸一は、心情を語った。