『新・人間革命』第3巻 平和の光の章 P264~

山本伸一の宿泊するカルカッタのホテルに 戸田が懇意にしていた実業家が訪ねてきた。
戸田の思いで話をする彼は、戸田が創価学会を組織化したことをほめる。

これからは 組織の時代であるから、学会を組織化したことで学会は 発展したと話す。


伸一は、
「一面では確かにその通りかもしれませんが、それだけではないと思います。」と話す。


「組織ならどこにでもあります。会社も、組合も、すべて組織です。そして、
組織化すれば、すべてうまくいくかといえば、逆の面もあります。
組織は整えば整うほど硬直化しますし、官僚化していくものです。」


「組織というのは 人間の体にたとえれば、骨格のようなものではないでしょうか。
必要不可欠なものですが、それだけでは血は通いません。」


「戸田先生の偉大さは、その組織を常に活性化させ、
 人間の温かい血を通わせ続けたことだと思います。
 具体的にいえば、会員一人ひとりへの励ましであり、指導です。」


「苦悩をかかえて、死をも考えているような時に、激励され、
 信心によって立ち上がることができたという事実ーこれこそが学会の発展の源泉です。」


「同志が戸田先生を敬愛したのは、先生が会長であったからではありません。
 先生によって、人生を切り開くことができた、幸福になれたという体験と実感が、
 皆に深い尊敬の念をいだかせていたんです。」


「ゆえに、それぞれが、戸田先生を自身の師匠と決めて、
 喜々として広宣流布の活動に励んできたんです。」


「ですから、もしも、戸田先生が会長をお辞めになっていても、先生は常に皆の先生であり、
 仏法の指導者であり、人生の師であったはずです。」


実業家は、驚いたように伸一の顔をまじまじと見つめた。そして、静かな声で言った。
「確かにそうかもしれない。私も、学会のことはよくわかっているつもりでいたが、
 そこまではわからなかった。」
「正直なところ、私だって嫉妬したいくらいだ。今の世の中、金の力で動かせぬもはない。
 しかし、学会は、金の力なんかではびくともしない。
 偉大な精神の世界をつくってしまったんだから・・・」


「こんなことは、誰もできやしないだろう。だから、ほかの勢力にしても、
 また、為政者にしても、悔しいし、怖いようにも感じるのだろうね。」


「もう一つ、戸田さんのすごさは、あなたという後継者を育てたことではないかと思う。」
「あなたのような後継者をもった戸田さんがうらやましい。いや実にうらやましい・・・。」
この実業家は伸一と二時間ほど懇談すると、「勉強になった。ありがとう」と言い残して、
ホテルの自分の部屋に帰って行った。


太字は 『新・人間革命』第3巻より抜粋